伊達焼き屋の、バーチャルなるままに。第6回~『誰かを救いたい人』を救いたい~

どうも、バーチャル世界で自分の存在のみを貸し出すVRCなにもしない人という活動をしている伊達焼き屋です。
普段はゲームワールドの人数合わせ、一人だと行きにくいイベントの同行、話し相手など「存在貸出依頼」として受け付けながらバーチャル世界をなにもしないで生きています。

各VRプラットフォームをうろついて、そこにいる人達と曖昧に接触してそこから得た知見や発見を気が向いた時文章に起こしてバーチャルライフマガジンさんに寄稿しています。

今回は『人の役に立ちたい』『困っている人を助けたい』と思ってる人が陥りがちな心理や捉え方なんかを書いていければと思います。

では本編。

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「人の役に立ちたいな~」って思ったことありますか?
僕はあんまり思わないですが、バーチャル世界は優しい世界って言われていた時期があるくらい無条件で親切にしてくれる人が結構多い。たくさんの人が親切にしてくれたから今もこうしてバーチャル世界でなにもしないで過ごせています。いつもありがとう。

 どうして親切な人が多いんだろう、自発的に親切にしてくれる人が多いんだろうと考えた時VRSNS、VRプラットフォームにはアプリゲームのデイリーミッションのような「とりあえずこれやっとけばいいのね」という目的にあたる部分が明確化されていない点があるのかなと。
バーチャル世界に意気揚々と乗り込んだものの「まず何したらいいんだ?」と勝手が解らず悩んだ方も多いんじゃないでしょうか。

 多くの人がバーチャル世界からの”初見殺し”を経験してきたからその分他人に手を差し伸べようとする人が多い気がします。リアル世界に比べてバーチャル世界は「何かお困りですか?」と声を掛ける心理的ハードルも低いですし、昔自分が助けられた分誰かを助けたいというのは大変立派な心意気です。

 ですが、「誰かを救いたい」という気持ちを持った時、それは“黒い動機”ではないですか?
というのが今回の本題です。

黒い動機ってなに?

 黒い動機とは「誰かを救うこと」そのものが手段となってしまったもの。

 なぜ「誰かを救う事」を手段にしてはいけないのか。
それは「誰かを救う事」でしか自分の存在を自分で認められなくなるから。

 人助けに限らず、手段として何かに取り組むと必然的に義務感が伴います。
黒い動機から「自分が○○をしていなければ生きている意味がない」「○○をしていない自分には価値がない」といった後ろ向きな感情が生まれてくる。

 恐ろしい事に黒い動機のままだと、仮に誰かを救えたとしても自分は決して満たされなくなってしまう。つまり誰かを救ったという結果すら理解できなくなる。

「誰かを救わない自分に価値がない」と他人に依存しなければ自分の存在を認められなくなる条件を自分で課しているわけだから、誰かを救っている(現在進行形)時は条件をクリアできますが誰かを救った(過去形)になった瞬間スタート地点に逆戻り。

 誰かを救わないと自分の事を認められないのに、誰かを救ってしまうとその条件がリセットされてしまうという惨いループの完成です。

喉を潤すために塩水を飲み込んでいるような、その渇きは一生癒えることがないのです。

「誰かを救いたい人は本当は自分の事を救いたい人」ってヤツですね。
誰かを救うことでしか自分を確立できない。自己を確立するため、自分が存在して良いと認めさせるための手段として人を助けている。

 俗にいうメンヘラと呼ばれる人たちもそうですが、他者に依存することでしか自分を認められないというのはとても窮屈で楽しくないな~と個人的に思う。

・”黒い動機”はどうしたらいいの?

「ヤバイ!これ黒い動機じゃん!」と気づいた時にはもう黒い動機が生まれてるので、残念ながら手遅れです。予め黒い動機を制御したり封じ込めたりは出来ません。
ですが、黒い動機の正体さえ分かってしまえば受け流す事はできます。力で抑え込むのではなく合気道のようにひらりと避ける事ができれば黒い動機に飲み込まれる事はありません。

 自分の感情をどう制御するかよりどう共存していくかを考えていきましょう。
黒い動機が湧いてくるのは仕方のない事だとキッパリ割り切るのが大事。

“黒い動機”とは別の”白い動機”について少しお話して本記事を締めたいと思います。

白い動機とは「余りもの」である。

黒い動機は常に感情を満たそうとするので自転車操業の如く常に車輪を回転させないといけないのでいつか息切れしちゃいます。常に生産と消費を同じサイクルで回すからプラマイゼロか、生産コストがかかってむしろマイナスかもしれません。

じゃあどうしたらいいかというと余っているものを置いておくのです。
他者に渡す為に最初から何かを生産するのではなく、手元にある余りものを他者が勝手に持っていくようにする。余りものだから生産コストも発生しないし、「余っている=既に満たされている」状態なのでそこに固執する必要もない。

「人助けをするための人助け」ではなく「したいことをしていたら人が救われてた」に変換していく。普段から行っている何気ないアクションが誰かを救う…。まるで異世界転生系の主人公みたいですね。白い動機を持っていれば誰だって主人公になれる。

「自分がしたいこと」の見つけ方や実践方法は過去の記事に詳しく書いてあるので、そちらも併せて読んでいただければ嬉しいです。

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「誰かを救いたい」というあなたの勇気が今日のバーチャル世界を創り出しているといっても過言ではないでしょう。ヒーローというのはいつの時代も悩み苦しむものです。本記事がその悩みを解決するヒントになることを祈ります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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バーチャル世界でなにもしないをしています。