『大丸松坂屋百貨店』オリジナルアバターからバーチャルファッションを見る。試着会&SPトークショーで『株式会社V』『メタカル最前線』と『バチャマガ』が“VRChatアバターのこれまでとこれから”を語る

2023年10月から続々と発売され、“正装”をテーマにした素敵な個性を持つ12体が好評を得た『大丸松坂屋百貨店』のオリジナルアバター。『バーチャルライフマガジン』でも全12体のレビュー掲載も実施しています。

そんなシリーズの新たな展開として、12体に使用されている複数のボディサイズに対応させた制作が行われることが発表。

この発表にあわせて、2024年4月19日(金)には、全12体を引っ提げたアバター試着会とスペシャルトークショーも開催。トークショーには、大丸・松坂屋アバターの制作を担った株式会社VのAlice氏に加え、ゲストにVR系Webメディア『メタカル最前線』編集長東雲りん氏、『バーチャルライフマガジン』からも副編集長の翡翠ミヅキ、アクターモデルとして活躍する『Silky Charm』のKawasaki Silvia氏も参加して、『大丸松坂屋百貨店』アバター制作のこれまでを振り返りました。

なお、トークショーの様子はKawasaki Silvia氏が所属する『SilkyCharm』による動画リポートも公開中。あわせてご覧ください!

アバター12体の制作を振り返るトークショー

イベントは『大丸松坂屋百貨店』専用のアバター試着会場で実施。前半・およびサブインスタンスは試着会の会場となり、用視された全12体に着替えられるアバターペデスタルから、来場者のみなさんがアバターを試したり、好きなアバターについて語る光景も見られました。

そして、メインインスタンスでは後半の約40分ほどを使用してスペシャルトークショーが実施。

アバター文化や販売について語ろう!

登壇者紹介
DM-RED氏

大丸・松阪屋オリジナルアバター全般を統括
『VRChat』プレイヤーとしても深く入り込んでいる

Alice氏

株式会社V CEO アバター制作指揮
トークショーでは『玲來(れいら)』の姿で登壇

東雲りん氏

メタカル最前線 編集長

Kawasaki Silvia氏

モデルアクターチーム『Silky Charm』代表
トークショーでは『湊渚』を無限歩行の技術で優雅に紹介

翡翠ミヅキ

バーチャルライフマガジン副編集長

DM-RED氏

今回集まった皆さんでアバターについて語りたいと思います! 私達もアバターを販売しているわけですが、アバター文化や、アバターが販売されているということについてお考えをお聞かせください。

Alice氏

私達は会社として“つくる”ことをしていますので、制作側の目線でお話できればと思います。普段、『VRChat』の中で皆さんはいろんなアバターを見ながら「これがいいな」「すごい気になる」と感じていると思いますが、まず「これほどまでに幅が広いのか」と、制作している立場としても強く感じています。

男性アバターや女性アバターだけでなく、そもそも人の形ではないものも含め「自分がどういう形だったらいいだろう?」とか、着心地の良さなどといった部分を大切にしつつ制作させていただいています。

ギミックについても、こうしたものがあったら、こんな風になったら、着ている人達が楽しくなるのではないか。……といったことを考えながら取り組んでいるんです。普段もアバターに限らず、こんなものができたら便利だろうなということをよく考えていたりするのですが、このあたりについてメディアの目線で感じている変化などはありますか?

翡翠ミヅキ

バーチャルファッションに興味があり追い続けていますが、2020~2021年頃までに『VRChat』に参加している人達はディープな層といいますか、ガジェットだとかの技術方面が好きな方が多かったと思います。

当時はVTuberが好きな方も多く、そうした関係からか、アニメっぽい、ゲームっぽい衣装の方が多かった印象がありました。なかなかリアルではそのまま着るのが大変だったりする側面もあったのではないでしょうか。

翡翠ミヅキ

そして2021年後期頃でしょうか、『Quest2』の発売なども影響してか、ライトなユーザーが増加しました。特に、若い方が増えた影響が大きく、リアルクローズに衣装の傾向・人気が寄ってきていると感じています。

今日もKawasaki Silviaさんがお召しになっている衣装が「リアルでも居そう!」な服であり、フォーマルな感じですよね。このように、現実で見かけてもおかしくはない衣装が増えてきているように思います。

東雲りん氏

私がVRChatを始めたのは2022年頃でしたので、ミヅキさんの仰る頃については肌感覚を持てていないのですが、既に当時はリアルクローズが既にひとつのジャンルとして定着していました。それが徐々にいろんなアバターの対応衣装として広まっていき、一般的なものになったのかなという気がします。

その流れに企業からの参入があり、クリエイターの皆さんの目線が向いて、更にリアルクローズの路線が強まっていったのかな、と思っています。

DM-RED氏

企業の取り組みにお話を向けていただいてありがとうございます。『VRChat』内でのリアルクローズ集会といったイベントも活発で、私も参加させていただきましたが、ファッションを楽しむ意気込みの方が増えているなと感じます。

参加者の中には実際の服飾関係で働いている方がいらっしゃったり、しかも仕事としてではなく、本当にVRChatにハマって果敢に挑戦されている人が増えてきたと感じています。

メディアの取り組みに“狙い”の違いを見る

DM-RED氏

当社のアバター制作を進めていくと共に、両メディアの方々には連載や企画を行っていただきましたので、その内容について伺いたく思います。

クリエイター対談企画を重ねたメタカル最前線

DM-RED氏

メタカル最前線さんでは2023年の12月にクリエイター対談記事を作っていただいたのですが、どのような切り口にしようと考えたのか教えてください。

東雲りん氏

前置きとして、メインに担当していたのは前編集長のアシュトンさんでしたので、あくまで私からの視点となってしまいますが……。

お話を伺ったばかりの頃は、実力のあるイラストレーターやクリエイターの方々がタッグを組むという状況だけ把握していました。ですので、どのような意図でタッグを組むことになったのかを掘り下げていこうと意識していました。

クリエイターの皆さんがどうやりとりしたのか? 互いの影響はどうだったか? まずは何が起きたのかをきちんと追っていって、そこから掘り下げていきました。基礎固めといいますか、その点はこだわりました。

DM-RED氏

クリエイターの皆さんの、良い意味でのぶつかり合いなどが見えてきたのではないでしょうか。

東雲りん氏

取材の中で印象的だったやりとりが、アバターの制作中、イラストレーターさんへ「この部分の素材はどうなっていますか?」といった質問が出された、という点です。

『VRChat』で使用されるアバターは、服の素材感などの表現をしっかり行えるプラットフォームでもあります。イラストレーターさんの目線として「ここまで再現できるんだ」と、そんな質問を通じて感じられたそうです。

クリエイターの方々のそんなやり取りから、テクスチャ画像としての解像度もそうですし、物事の解像度という意味でも、『VRChat』ってやっぱり凄いんだなと私自身が痛感しました。

DM-RED氏

クリエイターのアサインをしていただいたのがVさんです。
タッグについて、Aliceさんに語っていただければ。

Alice氏

今回の12体はテーマとして“正装”を掲げていました。“正装”と一言にしても、解釈の仕方も違いますし、様々な表現が12体のアバターには詰まっています。

「クリエイター同士のぶつかり合い」とお話がありましたが、イラストレーターさんが意図した表現を、モデラーさんとしてもこう表現してみたらどうだろう、といったことが起こり、それらがうまく組み合わさって大きく広がったのは、制作していく中でとても印象的でした。

使用者目線のレビュー連載を行ったバーチャルライフマガジン

DM-RED氏

今年の1月から4月にかけてバーチャルライフマガジンさんではアバターレビュー記事の連載をしていただきました。クリエイターというよりも、こちらの企画は使用者目線の記事になりましたね。

翡翠ミヅキ

バーチャルライフマガジンの“アバターレビュー”は、今回の大丸・松阪屋さんに限らず、実際に着て『VRChat』内で撮影を行い、どのように見えるのか、感じるのかをリアルにお届けすることを大切にしながら構成しています。

今回は12体のアバターを毎週連続でレビューしていくというものでした。販売にあたり、大丸・松阪屋さんとしても広報には取り組まれているはずですので、私達は「実際に使ったら、どう見えるのか? イメージと使用感の違いは」という部分を注意深く掘り下げながら作っていきました。

DM-RED氏

12体ですので12週、一気にやっていただきましたがどうでしたか? 大変だったんじゃないかと思いますが。

翡翠ミヅキ

大変と言われれば、それはそうですね(笑)。打ち合わせ、撮影、原稿、そして公開という手順で進んでいきますが、やはり撮影フェーズが最も大きな負荷となります。1回の撮影で2時間はかかります。12体であれば全部で撮影だけでも24時間分です。作業のボリュームとしてはなかなかのものです。

しかし、モデルアクターやカメラマンの方々も含めて、皆さんは“楽しい”の方が上回って熱中していたように思います。そのおかげで、非常に面白い記事ができたのではないかと思っています。

Kawasaki Silviaさんによるスペシャルランウェイ

DM-RED氏

連載では3名のモデルアクターさんにお願いすることとなりました。本日はそのうちのひとりであるKawasaki Silviaさんにお越しいただいてます。当社のアバターを集中して着ていただくこととなりましたが、いかがでしたか。

Kawasaki Silvia氏

今回、本当にとても長い期間『バーチャルライフマガジン』のアバターレビュー制作チームやりとりさせていただきました。その中で、毎回着ることとなるアバターがとても個性的。この個性は着ていただければよりお分かりになるかと思うのですが、すべて全然異なるのでとても新鮮で楽しかったです。

DM-RED氏

新鮮で楽しいと仰っていただいて嬉しい限りです。本日はこの場でスペシャルランウェイとして、Kawasaki Silviaさんに歩いていただきたく思います。

Alice氏

(無限歩行でのランウェイを見て)すごい優雅ですよね。とても綺麗。『湊渚』がすごい似合っていますね。

翡翠ミヅキ

アバターレビューでもSilviaさんには『湊渚』をご担当いただきました。かなりシンクロ率が高いと言いますか、アバターひとつを見てもモデルアクターさんによって全然表情が変わるものです。Silviaさんはそうした表現が非常に上手なアクターさんだと感じております。

DM-RED氏

手の先端まで細かい動き、本当に女の子らしい歩き方、すごいですよね。まさにアイドルのような形のアバターとしてイメージしていますので、本当によく似合っています。

翡翠ミヅキ

アバターレビューに携わる皆さんには「ギャップを出して欲しい」と注文していました。Silviaさんはそうした面でかなりうまく表現してくださいました。『湊渚』であれば、可愛いもいける、カッコいいもいいですよね!と探りながら撮影していきました。

Kawasaki Silvia氏

『湊渚』ちゃんは撮影したアバターの中でも、ポージングが楽しかったです。カッコいいも可愛いも、なんならそれ以外のどんなポージングでも似合うんです。本当にいろんな撮影で着せていったら楽しいだろうなと思いますので、ぜひ試着してみてください!

それぞれの展望を見つめ合う

DM-RED氏

それでは改めて、皆さんの今後の展望を最後に伺いたく思います。

Kawasaki Silvia氏

モデルアクターチーム『Silky Charm』では、最近イベントをサポートするという活動もはじめました。今後の活動も見ていただけると嬉しいです!

翡翠ミヅキ

『バーチャルライフマガジン』では皆さんのカルチャーや、ここで育っているものをより多くの方に届けて楽しくしていく。そして僕らも楽しい記事をどんどん発信していこうという媒体ですので、よければ皆さんもその仲間になっていただいて、楽しいVRライフを送っていただきたいなと思います。

東雲りん氏

『メタカル最前線』としてはメタバースカルチャーを発信していくのもそうですし、その担い手を増やしていきたいと考えています。ですので、これまで以上に掘り下げていくのもそうですし、より参加したくなるような取り組みができればと思います。

Alice氏

弊社としては、今年ももっといろんなものを作っていこう、皆さんに楽しんでいただこうと、どんどんやっていきたいと思っています。また、『VRChat』全体のこともしっかり考えていきたいという思いがあり、皆さんが普段過ごす中での時間がもっと良くなるような仕組みだとかを入れることで、ポジティブに働いていくのではないか、そういうことに取り組んでいく1年になれば良いなと思います。

DM-RED氏

ゲストの皆様ありがとうございました。せっかくこうして企業として取り組んでいるので、周りから見てもらえる機会も多いですから、それをうまく使ってメタバース・VRの中で楽しんでいる人々のことをしっかり発信していけたらと思っています。

もっともっと楽しいメタバースライフ、バーチャルライフを作っていけるようにしたいと思っています。今年は我々のアバターの衣装を、毎月出すぞというくらいの気持ちで考えておりますので、もっともっと色んなことに挑戦していきます。

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trasque
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