ロボット倫理と標準化に関する国際会議「ICRES 2024」で研究ユニットNem x Mila登壇。サイバネティック・アバター社会の課題とは【寄稿】

ロボット倫理と標準化に関する国際会議「ICRES 2024」が7月29日から慶應義塾大学キャンパスで行われる。7月31日の特別セッションにて、メタバースとVTuberを調査する研究ユニット「Nem x Mila(ねむみら)」として活動する、VTuber/作家バーチャル美少女ねむ、そして先日NHKで密着インタビューが放送されて話題となったスイスの人類学者リュドミラ・ブレディキナ(通称「ミラ」)が「アバターで生きる人類新時代―データから見るメタバース住民のリアルとこれからの課題」 と題して登壇発表を行うことが決定した。本会議の論点として内閣府のムーンショット目標1で提唱されている「サイバネティック・アバター」が上がっており、既にソーシャルVRの世界でアバターの姿で生活するメタバース住人として、Nem x Milaは調査データや自分たちの実体験からアバター社会のリアルと課題について発表を行う。

ICRES 2024(第9回ロボット倫理と標準化に関する国際会議)

ICRES 2024(9th International Conference on Robot Ethics and Standards; 第9回ロボット倫理と標準化に関する国際会議)は、人工知能とロボティクスにおける安全性、倫理、法律、社会的な問題について、多角的に議論する国際学会である。

【会議名】ICRES 2024(9th International Conference on Robot Ethics and Standards; 第9回ロボット倫理と標準化に関する国際会議)
【期間】2024年7月29日(月)~31日(水)
【場所】慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎
【運営】
・Clawar Association
・日本ロボット学会(RSJ)
・人工知能学会(JSAI)
・大阪大学先導的学際研究機構附属共生知能システム研究センター(SISReC)
・IEEE Standards Association
・IEEE Society on Social Implications of Technology
・慶應義塾大学共生知能創発社会研究センター
・Linked Open Data Initiative Inc.
【スポンサー】
・オムロン サイニックエックス株式会社
・AI Alignment Network
・川崎重工業株式会社
・東京ロボティクス株式会社
・株式会社サイバーエージェント
・株式会社Opening Line

※出典:公式ウェブサイト https://clawar.org/icres2024/

Nem x Mila 登壇「アバターで生きる人類新時代―データから見るメタバース住民のリアルとこれからの課題」

ICRES 2024の特別セッションとして、メタバースを調査する研究ユニット「Nem x Mila(ねむみら)」として活動する、VTuber/作家バーチャル美少女ねむ、スイスの人類学者リュドミラ・ブレディキナ(通称「ミラ」)が登壇する。同ユニットの調査レポート「ソーシャルVRライフスタイル調査2023(Nem x Mila)」「メタバースでのハラスメント (Nem x Mila, 2022)」などのデータや彼女ら自身の体験、メタバース住人へのインタビューにより得た知見を元に「サイバネティック・アバター社会における倫理的法的社会的問題」というテーマで議論を行う。発表と質疑応答は英語で行われる。

【題】Living with Avatars: A New Era for Humanity – Insights from Data on the Reality and Future Challenges of Metaverse Residents(アバターで生きる人類新時代―データから見るメタバース住民のリアルとこれからの課題)
【テーマ】サイバネティック・アバター社会における倫理的法的社会的問題
【日時】7月31日(水)13:40~15:00
【出演者】
・バーチャル美少女ねむ(VTuber、作家)※メタバースからオンライン登壇
・リュドミラ・ブレディキナ(スイスの人類学者)※スイスからオンライン登壇

※出典:ICRES 2024 Special Session https://www.dropbox.com/scl/fi/18ccq2y74nkh24hcnc1js/ICRES2024_SS_pa

内閣府ムーンショット目標1より「サイバネティック・アバター」

ムーンショット型研究開発制度とは、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する国の大型研究プログラムである。ムーンショット目標1「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」では、以下のように「サイバネティック・アバター」の活用が提案されている。

誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤

・2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
・2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。

注:サイバネティック・アバターは、身代わりとしてのロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含む概念。Society 5.0時代のサイバー・フィジカル空間で自由自在に活躍するものを目指している。

サイバネティック・アバター生活

・2050年までに、望む人は誰でも身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させる。
・2030年までに、望む人は誰でも特定のタスクに対して、身体的能力、認知能力及び知覚能力を強化できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を提案する。

サイバネティック・アバター生活 ※出典:内閣府ウェブサイト

※出典:ムーンショット目標1 2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現- 科学技術・イノベーション – 内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html

ソーシャルVRライフスタイル調査2023(Nem x Mila)

メタバース住人のライフスタイルを可視化するため、全世界のユーザーを対象に行った大規模公開アンケート調査のレポート。2003年に実施された第2回では回答数が2,000件となった。要望の多かった「人口急増による変化」「コミュニティ」「経済」を重点テーマに設定した。人類とメタバースの未来に向けたオープンな議論を活性化させるため、全80ページ無償公開している。

メタバースでのハラスメント (Nem x Mila, 2022)

急速なユーザー数の増加により注目が集まるメタバースでのハラスメントの実態を明らかにするため、全世界のソーシャルVRユーザーを対象に行った大規模調査への回答約900件を分析したレポート。実際に起こっているハラスメントの種類ごとの遭遇率や、ユーザーの対処などを纏めている。

研究ユニット「Nem x Mila(ねむみら)」

ねむとミラがメタバースが人類に与える影響を調査するために結成した研究ユニット。ソーシャルVRの生活を調査した「ソーシャルVRライフスタイル調査」などのレポートを定期的に発表。昨年2023年には国際連合の国際会議「IGF京都2023」でも登壇発表を行った。
※参考:Nem x Mila、国連会議「IGF京都」に登壇 https://kai-you.net/article/87908

●バーチャル美少女ねむ(VTuber、作家)
日本のVTuber/作家で、メタバース文化エバンジェリスト。HTC公式VIVEアンバサダー。2022年に解説書『メタバース進化論(技術評論社)』を出版。「ITエンジニア本大賞2023」ビジネス書部門で大賞を受賞。MoguLive VTuber Award 2023では「今年最も輝いたVTuber」に選出された。
・X https://x.com/nemchan_nel
・researchmap https://researchmap.jp/nemchan_nel

※参考:VTuberバーチャル美少女ねむの書籍が「ITエンジニア本大賞2023」を受賞
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/news/1478552.html

●リュドミラ・ブレディキナ(通称「ミラ」)
スイスの博士課程在籍の学生。2022年に「バ美肉」「VTuber」に関する修士論文でジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル」(ジェンダー賞)を受賞。 2024年にはNHK「最深日本研究」で密着ドキュメンタリーが放送。
・X https://twitter.com/BredikhinaL
・学術ポータル https://setu.academia.edu/LiudmilaBredikhina

※参考:「バ美肉」に関する論文、学術賞を受賞 ジュネーブ大のジェンダー分野で
https://kai-you.net/article/83747

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バーチャルライフマガジン編集部
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