【インタビュー】イラストレーター・Paryiは『VRChat』プレイ時間10,000時間オーバーの大ベテラン。『にじさんじ』VTuberデザインを務める人物が3Dアバターを作り、ブランドを立ち上げ、次の制作にうずうずしている

2023年12月に発売された『VRChat』向けオリジナル3Dモデル『瑞希』(以下、瑞希ちゃん)。ふわふわでかわいらしく、細かなところまで作り込まれたルックスはもちろん、なにより独自ギミックの数々が目を引く“新時代のアバター”と言えるアバター。

本アバターのレビューは、公開後からバーチャルライフマガジンの月間ランキングで堂々たる1位に君臨する注目度の高さでした。

“驚愕”と表現するほかない、ハイレベルなアバターを送り出してきたのは、イラストレーターのParyiさん。『にじさんじ』のアルス・アルマルさんなど、著名なVTuberのデザインも担当したイラストレーターのイメージが強い方も多いでしょう。

イラストレーターがなぜ、『VRChat』向けの3Dモデルに挑戦したのか? 本記事では、Paryiさんに瑞希ちゃんを制作した経緯や、そもそも3Dモデリングとアバター制作を始めたきっかけなどをインタビューしました。

一般ユーザーがアバター制作を始めたワケ

「私、プレイ時間は10,000時間を超えているんです」

そう話すのはParyiさんご本人。瑞希ちゃんの発表により、『VRChat』の世界に突如として存在が周知のものとなりました。

その実、『VRChat』は2018年ごろからずっとプレイしていたというのだから驚き! 聞けば、プレイ時間はなんと“チュートリアル10周分”に換算できる大ベテランでした‼ ただし、日本人ユーザーとの交流はそこまで多くなかったのが、日本人のコミュニティでお名前を聞かなかった理由のひとつ。

『VRChat』はいちユーザーとして、ごくごく普通のVRChat民だったParyiさん。その中で、ある日、3Dモデル制作にチャレンジ。それをキッカケに、あれよあれよと3Dの世界にハマり、アバター制作者に教えを請いながら、ギミック担当の方とともにオリジナルアバター制作に着手したそうです。

そして、何度もモデリングを重ね、1年近くの期間を経て作り出されたのが、瑞希ちゃん。

「3Dの造形は、これまでイラストで磨いてきた技術が活かされました」

本業はイラストレーターであるParyiさん。もともと、ドールや3Dデッサン人形など、デッサンを徹底的に学んでいたため、3Dモデリングへの挑戦する際に、イメージを3Dに落とし込むことは比較的難しくなかったのだとか。逆に、一番苦労したのは『blender』や『Unity』『Substance 3D Painter』といったツールの操作をおぼえることだったそうです。

今後もアバターが制作予定。新鋭ショップ『IKUSIA』が新たな風を吹き込む

「今は、次のアバターを作りたくてうずうずしています」

Paryiさんは今後も3Dモデルの制作を続け、オリジナルショップ&ブランド『IKUSIA』で、瑞希ちゃんもふくめ、合計5体ほどのアバターを展開予定なんだとか。既に、そこまで想定されているとは驚き。

アバターのコンセプトは瑞希ちゃんとも異なるそう。まめひなたのようなデフォルメ系から、Paryiさんが好きなゲーム『シャイニングニキ』のような端正なデザインまで、幅広く制作していきたいと構想を語ってくれました。「メスガキも作ってみたい!」と語っていたので、これは期待です。

そして、瑞希ちゃんの最たる特徴である独自ギミック。これについては、今後の『IKUSIA』アバターに搭載予定! このギミックは『IKUSIA』アバター限定にすることで、“内部実装も作り込まれたアバター”というブランド価値を狙うようです。

ちなみに、基礎的な部分は瑞希ちゃんの制作で完成し、他アバターへの組み込みはほとんど時間はかからないみたいです。さらに、余裕があればツールでの簡単な導入や、見た目の演出変更なども組み込む予定だそう。強い……!

戦略的な側面もありつつも、瑞希ちゃんの発売前、Paryiさんが「早くみんなに使ってほしいですね! 「サンプルアバターも広めたいです!」と話していたのが印象的でした。その楽しげな様子から、生粋のクリエイターとしての姿を感じ取ったのも事実です。

https://twitter.com/shiasakura/status/1731976948027404378

『バーチャルマーケット2023 Winter』にも出展し、おとなりに並んだ『かぷちや』と”新刊交換”したというほほえましいお話もあったそうな。

発売後、瑞希ちゃんは6100超の“いいね!”を獲得(※本記事執筆時点)。新規ショップのアバター第1号として幸先の良いスタートを飾り、対応衣装も順調に増えています。

第一線で活躍するイラストレーターが、外側も内側もこだわり抜いて送り出した一品。『VRChat』アバター業界に、新たな風が吹き込んできそうです!