アバターの姿で働く『VIVE Wonderland』が目指すVRメタバースの新しい働き方

VR空間で友達と遊んで、ショッピングもして、仕事もする。

まるでSFの世界のような話ですが、こうした事はすでに一部の人にとっては日常的なものとなっています。

アバターワークを通じて生まれるVRメタバースでの新しい働き方。
そしてその舞台となったVIVE Wonderlandから始まる『オリジナルの価値の創設』について特集します。

アバターの姿で接客!HTC NIPPONの『アバターワーク』

自宅に居ながらアバターの姿で働く。
2021年3月より始まったHTC NIPPONのアバターワーク。

アバターワークは“VRを活用した新たな働き方”の提唱としてこれまで3期にわたって開催され、延べ40名のスタッフが働いています。

こちらの企画は同社が手掛けるVRChat内のバーチャルショップ『VIVE Wonderland』にてVRやVIVE製品の魅力伝える接客スタッフとして働くというもの。

来場者はVR会場内に置かれている製品のサンプルを眺めたり、実際に手に取りながら、研修を受けたスタッフたちからアテンドを受けることが出来ます。

その様子はまるで家電量販店に来店し、欲しい家電の仕様について説明してもらうかのよう。

今回筆者が取材に伺った際も、『VRを初めて買うときは何が一番おススメですか?』『自宅にベースステーションを設置したいんだけどどうやって固定すればいいでしょうか』と、来場者がスタッフに質問を投げかけている様子が伺えました。

VR製品は普段目に触れる機会の少ない機材です。
カタログスペックだけでは分からない疑問を抱くユーザーも多い中、来場者の質問に対してしっかり受け答えしてくれるスタッフがいるのは安心です。

もちろんこれまでもHTC NIPPONでは秋葉原のPC専門店などで展示販売を実施していましたが、バーチャル空間での接客であれば顧客が住んでいる地域に関係なく、対面販売に近い感覚で製品をアピールすることが出来ます。

働いているのは特別な人だけじゃない

今回のアバターワークの特徴的な点は、働いているスタッフがVRメタバースを楽しんでいる一般ユーザーだということ。

決してVTuberやタレントがアイドル的にプロモーション活動をしている訳ではありません。
一般的なアルバイトと同じようにアルバイト応募者と企業が雇用契約を結び、時給制で給与が支払われています。

働いている場所や見た目の姿こそ目新しいですが、そこで行われているのは現実と同じ働き方のスタイル。
バーチャル空間で働く事はもはや特別な事ではなくなりつつあります。

また、今月9月から実施されているアバターワーク3期メンバー内には現実と同じくバイトリーダーも存在します。

今回働くのが初めてのスタッフも、前回のアバターワーク経験者である先輩がサポートがあるおかげで安心して働くことが出来ているそうです。

こうした“仕事の仕組み化”が出来ているのもアバターワーク活動に積極的に取り組むHTC NIPPONならではの施策と言えます。

店員がいることで活気づくバーチャル店舗

近年ではリモートワークが新たな働き方の1つとして注目され、自宅から働くというスタイルは珍しいものではなくなりつつあります。

しかし接客業においては現在も現場に赴いて働くことが前提となっています。
場所に縛られる働き方では引っ越しや出産など、ライフスタイルが変わると仕事も変えなければいけません。

そんな課題を解消する1つの手段がVR機材とVRメタバースを活用した“アバターワーク”です。

過去にもHTC NIPPONではVR / AR / MRのアプリメーカー『Gugenka』が提供するVRストアにVIVE製品専門のフロア『VIVE VR Store』を展開し、同様にアバターワークを実施しています。

『VIVE VR Store』の開場は“HTC VIVE直々のVRオフィシャルショップ”として注目され、ワンフロアの限られた空間にもかかわらず毎週数百人もの来場者数がありました。

スタッフはVR機器を使い自宅に居ながら接客が出来るため、子育て中で自宅を空けることが出来ない方や、地方に住んでいる方でも現実の接客業と同じように働くことが出来ます。
場所に捉われない働き方が出来るのは、働く側として大きなメリットとなります。

また、企業側としてもアバターワークによるベネフィットが見られています。
アバターワーク開催期間中はVIVE製品ページのアクセス数が向上。
スタッフのアテンドをアドバイスに同社が提携しているレンタルストアでVR機材をレンタル、後に購入したという来場者もいたそうです。

バーチャル上にある店舗であればスタッフのいない無人開店でもセキュリティ上は問題はありませんんが、現実と同様、バーチャル空間でも人の気配を感じられない空間にはなかなかユーザーが集まらないものです。

バーチャル空間で接客を行う事により、場に賑わいが生じ、店舗が生きた空間として活用されるのです。

更に進化する『VIVE Wonderland』

HTC NIPPONではアバターワーク活動に限らず、今後もVR空間のソーシャル性を生かした施策を企画しています。

現在『VIVE Wonderland』会場内ではVIVE製品の展示や周辺アクセサリメーカーの展示が行われていますが、今後さらに会場を拡張。新たに2つのゾーンを制作することを計画しているそうです。

1つ目は『Infinityゾーン』
InfinityゾーンではVRゲームのサブスプリクションサービスである『VIVE PORT Infinity』の人気タイトルや新作ゲーム紹介したり、ゲームのキャラクターと触れ合えるテーマパークのような空間を企画しています。

2つ目の企画は『Uゾーン』と呼ばれるソーシャルコミュニケーションエリアです。
こちらのエリアではVIVE製品に興味があるユーザーだけでなく『ここに来たら楽しいことが待っている』というようなバーチャルリアリティパークエリアをプランニングしているそうです。

VRChat上での人気のゲームワールドが遊べるような空間を用意したり、Barやステージでライブ・漫才などを行ったり、空間内で映画が鑑賞が出来たり。

『VIVE Wonderland』を通じてバーチャル世界での生活やコミュニケーションがさらに活発になるよう取り組んでいくそうです。

『VRメタバースを価値ある世界に』HTC NIPPON代表 児島さんの語るVRのこれから

現在のバーチャル空間はまだまだ経済圏が確立されているとは言い難い未開の地と言えます。
VRソーシャルを活用しているユーザーの数は増えつつありながらも、明確なビジネスロードマップが確立されているわけではありません。

そのような状況でありながらも、『VIVE Wonderland』のプロジェクトを立ち上げた事には、HTC NIPPON代表 児島さんのVRソーシャルにおける想いが込められているそうです。

『VRソーシャルにおける経済圏の発展について、まず第一にはエネルギーを持った人たちでVRソーシャルを盛り上げていく事が一番大切だと思っています。
VRソーシャルで過ごしている人たちが活躍できる場が無いと、空間そのものが尻すぼみになってしまいますから。

過去3回に渡り実施されているアバターワークの施策も、児島さんの『VRソーシャルで活躍できる場を設けたい』という想いの上に続けられている企画の1つです。

VR機器を販売するHTC NIPPONが率先して“メタバース内での働き方”に取り組むことで、接客だけでなく、イベントターやクリエイター、エンターテイナーなど、様々な新しい仕事が生まれるきっかけにしていきたいと語っています。

また、VRでの働き方の他に、児島さんはVRメタバースの付加価値を高める施策についても試作中なのだそうです。

『これからVRメタバースの世界が広がっていく中で問題になってくるのがアバターの在り方についてかと思います。

VRメタバースではアバターは本人のID的なものになっていますよね。
アイデンティファイヤというか、固有のものというか。その人そのものを表しています。

今後バーチャルのプラットフォームを行き来する中でそういった固有のIDというのは非常に重要になっていきます。
現在はデジタルデータはコピーをしようと思えばコピーできてしまう、オリジナルの価値が付けられない状態ですが、例えばブロックチェーン技術やNFTを活用して、それが世界の唯一の物であると証明できるのであれば、VRメタバース内の物の価値感は大きく変わってくるのではないでしょうか。


VR/AR・5G・AI・ブロックチェーンをコアコンピタンスとして持つHTC社。

自社の持つ強みを生かしつつ、今後もVRメタバースを盛り上げる1つのマイルストーンになっていくことが期待されます。

■HTC VIVE公式サイト https://www.vive.com/jp/
■VIVE Wonderland公式サイト https://www.gugenka.net/vivewonderland
■HTC VIVE x DMM.comいろいろレンタル https://www.dmm.com/iroiro/list/article=maker/id=604/
■世界初の遊び放題VRサブスクリプションサービス「VIVEPORTインフィニティ」公式サイトhttps://www.viveport.com/

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