【VRアーティストインタビュー】PHAZE – それぞれのルーツが深く絡み合う音楽を【Enjoy’n Music – 1】

▲バーチャルバンド・PHAZEのみなさん。

VRの世界で音楽活動を行っているアーティストさんにVsinger・八瀬すずかがお話を伺うインタビューシリーズ・Enjoy’n Music(エンジョインミュージック)。

第1回はVRChatを拠点に音楽活動を行っている3人組、PHAZE(フェイズ)です。
彼らの音楽的ルーツや、普段の表情を知るため、インタビューを行いました。


――では、さっそくインタビューさせていただきます!よろしくお願いします!…あの、Shellさんはなぜ笑っておられるんでしょうか……?
Shell
「なんかいまwwwメガネぶっ壊れちゃってwwwww」
Diz「なにしてんの……??」
Aki「なにしてんすか??????」
Shell「ちょっと写真送りますね……メガネを直していたはずなんですけど……」

▲突然送られてきたメガネ画像がこちらです。

Diz「ねぇwwwwwwwwwwwwww」
Aki「もうほんとに(わたしたち)3バカじゃん……」
Shell「僕これ半分しか目が見えない状態なんですけどいいですか?」

ーーあっOKでーす!!



――改めまして、本日はありがとうございます!まずは自己紹介からお願いできますか?

Shell「PHAZE(フェイズ)のキーボード担当、Shell(シェル)です。このバンドを組む前から、バーチャルリハモ(※リハーモナイズ)巻貝として、和音に特化した活動をしていました。
具体的には、すごい和音の曲を紹介したり楽しんだりする……ですかね。あとは物理学を学んでいたので、VRChatで数学の勉強会をすることもあります」(写真:左)

Aki「PHAZEのボーカル、悪魔っ狐(こ)のAki(アキ)です。結構前から歌ってみたをやってました。3カ国語が話せます、ドイツ語と日本語と英語です。通訳のお仕事をすることもあります。ドイツ人です」(写真:中央)

Diz「PHAZEのベースとトラックメイカー担当のDiz(ディズ)です。リーダーでもありますね。普段は作曲家としてお仕事をしていて、過去に楽曲提供したのはラブライブシリーズだったりとか……」(写真:右)

――んっ???

Aki「ほら、こういう反応が普通だよ」
Diz「え~……と。そのほかは電脳少女シロさんの映画、『シロツメクサ』にも楽曲提供しました」

――想像以上にすごい人たちでちょっといま飲み込めてないです…。き、気を取り直して、結成のきっかけをお聞きしてみたいんですが。

Diz「はーい、(きっかけについて)一番覚えてる人は~!?」
Aki「Shellくんじゃない?」

――えっ大事な思い出ではないんですか!?笑

Shell「なんというか、結構ノリみたいな感じで始まっていまして……」
D・A「だねぇ(笑)」
Shell「まず僕とDizさんがTwitterで知り合ったんですよね。お互いにVRで活動している仲間という感じで。
で、SUSABIさんという方が、SLTというVRChatの音楽勢の集まるところで『みんなで曲を作ろう!』と動いていて、そこにAkiちゃんが中心メンバーとして参加していたんです。
そこに僕とDizさんも参加しまして、企画後にAkiちゃんから『これからも仲良くしましょ~!』って連絡をくれて。
それで、DizさんがVRChatで作業しているところに遊びに行ったらたまたまAkiちゃんもいたんですね。
あれ、メンバー的にセッションいけるんじゃない?やってみよっか?あっこれいい感じだね?じゃあバンドにしちゃわない?という流れで始まりましたね」
Diz「それでちゃんと動き始めたのが2021年1月末のライブからですね」

▲おちゃめなお二人。シェルさんのこの表情、最高です!

――わたしがPHAZEを知った時にはもうVR内では知名度が高い印象だったので、活動歴が長いのかと思っていました。

Diz「知名度に関しては、VRChatのみなさんがとにかくノリがいいので、おかげさまでいろんなところにお呼びいただいて……という感じですね」
Shell「僕たちの活動のタイミングもよかったって感じもしますね。おきゅたんbotさんのくらげビ~トに出演させていただいたのもあるので」
Diz「あ~そうですね、VRChat内での音楽活動というものの土壌が出来上がってるところに参入できたかたちですね」
Shell「VRCのミュージシャンっていうとAMOKAさんも有名かと思うんですけど、実はDizさんが結構関わりがあって」
Aki「『不完全存在』を楽曲提供しているんですよ」
Diz「実はAMOKAの結成の場所に僕もいたりとか(笑)。それでPHAZEがイベントにご一緒させていただいたりもしましたね」

――活動の場をVRChatに選んだ理由とかあればと思ってたんですけど、逆ですね?

Diz「先にVRChatにいたので、というのが正しいですね(笑)」
Shell「そうですね、たくさんの人が先に土壌を作ってくださっていて……」
Diz「僕たちが活動始める頃にはもう音質などの環境がすごく整っていましたね」
Shell「音楽系のイベンターさんも増えていた時期で、すごく盛り上がった時期に結成できたなという印象です」
Diz「運がよかったよね(笑)」
Shell「ね(笑)」
Aki「本当にいろんな人の力があって、VRChatはすごく便利なツールになったよね。楽しく活動できていて嬉しいです」

――PHAZEの音楽性についても伺ってみたいんですが…。

Diz「実は結構好みのジャンルが噛み合わないところがあって、このジャンルについて2人はわかるけどもう一人はわかんないみたいなところもあって」
Shell「あるね~(笑)」

――じゃあお一人ずつ伺ってみようかな。Akiちゃんからいいですか?

Aki「わたしはジャズが好きで、それはShellくんと被ってますね。あとアニソンも好きで、それはDizさんと被ってるかな。
もちろんそれ以外にもいろんなジャンルを聴いていて、わたしは気に入ったものをもっと掘っていくタイプかな。ハチロクの曲が好きかも(笑)」
Diz「8分の6拍子ね」
Aki「Shellくんは変拍子が好きだよね(笑)」
Shell「すき~!(笑)」

――これは偏見なんですけど、変拍子好きな人って計算大好きな数学者感ないです?

D・A「ある~~!!!!(笑)」
Diz「そういう人って最終的に周波数のとこまで突き詰めていくんですよね(笑)音楽偏差値の高い人ってそういうとこあるんだよな~(笑)」

――では、次はDizさんのルーツを伺います。

Diz
「アニソンとかも好きだけど、ヴィジュアル系をめっちゃ聴いてた時期ありましたね。どっちかというと先にヴィジュアル系を聴いていて、そこからアニソンに流れた感じです。
vistlipさんとかすごい好きだったんですけど、遊戯王のアニメのOPをやってたんです。これはAkiちゃんと少し被るジャンルかな」
Aki「VALSHEは聴いてた!」
Diz「僕たちはあんまり変なルーツないんで、Shellくんにじっくり聞いたほうがいいですよ(笑)」
Aki「たしかに(笑)」
Shell「え~!変じゃないよ!(笑)」

――お、じゃあShellさんの変態ルーツを…。

D・A
「(笑)」
Shell「僕はクラシックピアノから入って、吹奏楽をやって、そこでサックスをやってて、そこからビッグバンドでジャズをやって、同じ時期にフュージョンを縁あって年上のおじ様たちと一緒にやって、そんで大学のサークルでソウルとかR&Bとか古めのダンスミュージックをやって……そのあといろいろあって……今に至ってますね」

――いま一番大事なとこ飛ばしました?(笑)

D・S・A「(笑)」
Shell「理論というか、和音に興味を持つきっかけになった人がいて。Jacob Collierという人なんですけど」
Diz「恐ろしい人ですよ(笑)」
Shell「ほんとに異星人です(笑)。サックスの師匠が教えてくれたんです」
Diz「変態性って師弟で受け継がれますよね……(笑)」
Shell「ジャズやってる人に関わるとこうなっちゃいますよね~(笑)」
Diz「そういえばVRChatって実はジャズが盛んで、本当にすごい人がいっぱいいるんですよね」
Shell「『Jazz in VRC』という集まりがあるんですけど、もう何回か開催されてまして。
初吹音さきちゃんという方が企画されてるんですけど、実はその方が僕がVRChatに行くきっかけというか、いわゆるV活をするきっかけになった方で。それまでは僕は音楽を個人で楽しんでいるだけだったんです」

――ああ、そういうきっかけでVRChatに触れられたわけですね。AkiちゃんはVRChatに行くようになったきっかけとかありますか?

Aki
「コロナが流行り始めた時期にワーホリ(ワーキングホリデー)で日本に1年間いたんだけど、本当はリアルの方でいろんなイベントとかに参加しようと思っていたんだけどぜんぶなくなっちゃって。出かけることもできなくなっちゃって、友達もできなくて。
そしたら偶然、海外のお友達にVRChat行こうよって誘ってもらって。もっと前にも入ったことはあったんだけど、しばらく離れていたので、久々に入ってみたのね。
そこで知り合ったのが韓国の人なんですけど、音楽系のイベントをやってる人で、そこに実はDizさんも出てたんですけど」
Diz「えっ」
Aki「ピアニストの人!AWAKE(VRChatのライブハウス)のイベントかな。
その人にイベントに誘ってもらって、行ってみたら日本人がいっぱいいて、ここなら日本人と話せる!友達たくさんほしい!ってなって、それでよく遊びに行くようになった感じかな。
春までの4ヶ月間、寒くてやだな~って引きこもってたらコロナになっちゃって。もっと大事に過ごせばよかったなあって思う」

▲男性陣。まったりとしたテンポでお喋りしてくれました。

――DizさんはVRChatでの活動前から音楽家だったわけですよね。VRChatへの入口ってどこだったんですか?

Diz
「とあるお仕事をいただいたんですけど、それがVsingerさんに楽曲提供するって話だったんです。そのマネージャーさんがVRChatのことを教えてくれて……VRChat内で会議したりする会社もあるとかって。
どういうものかなと気になって見に来たら、すごく楽しそうに遊んでいる方がたくさんいて。で、音楽やってる人がいるのかなと聞いてみたら、YAMADAの兄貴のところに案内されて。音楽やる人みんなここに集まるから、って(笑)」
S・A
「(笑)」
Diz「仕事と関係なく個人でも活動してみようかなって思ってた時期だったんで、そのままVRChat内で音楽やるようになってましたね。
その頃に出会ったのがYAMADAの兄貴とMoiriさんなんですけど、本当に長いお付き合いをさせてもらっていて、ありがたいなと思ってます」

――ここまでは過去を振り返るお話をうかがったので、ちょっと未来にも触れてみたいんですが…。今後の目標とかってありますか?

Aki
「デザインのアップデートをしたいですね。モデルだけじゃなく、Youtubeのチャンネルデザインとかもぜんぶ。あとオリジナル曲も精力的に出したいですね」
Diz「もっと活動のテンポ感を上げていきたいのはありますね」
Shell「もちろんクオリティ面は妥協せずにやっていきたいですね」
Aki「あと有名人になりたい!」
D・S「わかりやすい笑」
Diz「AkiちゃんやShellくんって音楽の能力が本当に高いので、僕も力を出し切って、もっと2人のすごさを引き出していきたいですね。そうしていろんな人の目に留まる存在になりたいですね」
Shell「あ、PHAZEだ!って言ってもらえるくらいになりたいですね。VRChatのパブリックワールドでたまに声かけていただくんですけど」
Aki「ウチもAkiちゃんだ!って声かけていただけるのですごく嬉しいです。それをもっと増やしたい!」
Diz「僕は声かけてもらえたことないな……二人ともすごいな……」
S・A「パブリックアバターで歩いてるから気づかれないんだよ!!(笑)」

ーー最高のツッコミが出ましたので今回はこのへんで!ありがとうございました~!

▲終始ワイワイとお話させていただきました!

PHAZE


VRChatで結成されたバーチャルバンド。
オリジナル楽曲の製作、ボーカル・Akiによる”歌ってみた”、リアルタイムのライブパフォーマンス、VRライブイベントへの参加など、精力的に活動している。
公式Youtube:PHAZE
公式Twitter:PHAZE・VRMusic
メンバーTwitter:Diz Aki Shell

INFOMATION


最新MVはSonicWire主催のDTM楽曲コンテスト「ソニコン」で優秀賞を受賞した、彼らのとって5曲目のオリジナルソング『Dangling』。
エレクトロスウィングの要素やEDM要素に混ざり合う、クリアでエッジの効いたAkiのボーカル、合間に差し込まれるDizのラップ、そして曲全体をギュッとまとめるShellのキーボード。
聴くたびに新たな気持ちよさのある1曲です。

今回のワールド

KTNK ETT HOUSE
あたたかな光と広い空間で、まったりと過ごせそうなワールド。
ソファに座って、みんなで動画を見ながらワイワイするのもよさそう!

投稿者プロフィール

八瀬 すずか
八瀬 すずか
歌う人妻、八瀬(やせ)すずか です。
音楽がだいすき!本を読むのもすき!TRPGがだーいすき!!
デザインや執筆も細々とやっています。