乗り物酔いで使う酔い止めの薬は、VRユーザーの天敵「VR酔い」にも効く!?

現代は、3Dゲームなどの普及により、乗り物に乗らずとも酔う「画面酔い」が増えました。
画面酔い、特にVR体験により引き起こされる「VR酔い」はVRを始めたばかりのユーザーにとっては、切っても切れない関係です。

VR酔いとは?

現代でもはっきりとは解明されていませんが、一説では、人間の感じている「感覚(主に視覚)」と三半規管で感じる「平衡感覚」のズレにより酔いが発生すると言われています。

乗り物酔いや画面酔い・VR酔いを含めて、医学的には「動揺病」と呼ばれており、症状としては「めまい・頭痛・吐き気」などが挙げられます。

発端はこのツイート

VR酔いの対処法として、以前は「とりあえずVR酔いでも酔い止め薬飲めば大丈夫」と不確かな言い方が伝わっていましたが、今回わは~♪さんの見つけた、製薬会社「エスエス製薬」の製品ページ内での記述で、本当にVR酔いでも効くのでは?と話題になりました。

ツイート元のわは~♪さんに聞いてみました!

前述のツイートをした、わは~♪さんに自身のVR酔いについて質問をしてみました!

わは~♪さん

普段はTwitterで見かけた気になるワールド巡りやDJイベントなどを楽しんでいます。
自身でもVRChatとclusterで同時開催のサイケデリックトランスDJイベント「PSY-APPLE」読:サイナポー を毎週月曜日22:00から開催しており、私もDJとして出演させて頂いています。
コンセプトは、お酒と一緒にサイケトランスを浴びながらみんなで乾杯して、今週も一週間頑張ろう!です。

https://twitter.com/owatawaha

Q.ご自身で乗り物酔いやVR酔いをしたことはありますか?あれば、その時のお話や対処法をお聞きしたいです。

わは~♪

VR酔いは、初めてHMDを被って降り立ったVRChatホームで、リアルの自身は止まっているのに視界は動いてる未知の感覚で少し気分が悪くなっていました。
当時、酔い止め薬で快適VRになるという知識はありませんでしたが、休み休み遊んでいくうちに1週間程で酔わなくなりました。

わは~♪

これでVR酔いしなくなったぞー♪と調子に乗ってワールド巡りしていた時に、とあるワールドのブランコに乗った時に強烈な不快感に襲われてしまい、全身に冷や汗と吐き気でダウンしてしまいました(笑)

わは~♪

最近では、DrMorro氏の新作『Epilogue.Chapter 1.(v1.2)』の広大なワールドをぐるぐる探索しているうちに久しぶりに気分が悪くなってしまい、常備しているアネロンをさっと飲んだお陰で快適に探索を続けることができました。

Q.この酔い止め薬やホームページを知ったきっかけは?

わは~♪

スノーボードで滑って遊べるワールドSnow Park[UDON]に訪れた時の注意書きに「とっても酔いやすいです。アネロン飲んどきましょう。」「いいからアネロン飲んどけ」と2回も書いてたのがきっかけです(笑)

Snow Park[UDON]の注意事項(わは~♪さん提供)

Q.VR酔いにも効くと知った時の気持ちは?

わは~♪

もっと早く知りたかったし、VR布教時に酔ってリタイアさせてしまった数々の知人友人の事を思うとアネロンさえあれば結果は違っていただろうなというとても悔しい気持ちです。

VRユーザーの薬剤師さんに聞いてみた!

薬剤師でVRChatのいちユーザーでもある、FumaricAcidさんにインタビュー形式で酔い止め薬とVR酔いについていろいろ聞いてみました!

FumaricAcidさん

私立VRC学園で講師をやっているほか、いつもはフレンドと麻雀や雑談をしています。

https://twitter.com/kebFM

Q.酔い止め薬は何を選べばいい?

FumaricAcid

酔い止め薬は、製品によって成分が違ったりしますが、効果は大体一緒です。
ツイート元の方が使った「アネロン」以外のどれを飲んでもVR酔いには効くと考えられます。

Q.酔い止め薬には特殊な成分があって効いてる?

FumaricAcid

抗ヒスタミン薬・抗コリン薬という成分が酔いに対し効いています。

Q.酔い止め薬はどう作用する?

FumaricAcid

抗ヒスタミン薬や抗コリン薬は、脳への負担がかからないように脳に伝わる情報を送るのを遅らせる効果があったりします。

FumaricAcid

メインとしては、脳への負担がかかった結果起きた、腹痛や吐き気など(自律神経の乱れによる症状)の不快感を軽減をさせる(神経の状態を整える・働きを抑える)効果が作用します。

ゆーてる

三半規管とかに作用するわけじゃなく、脳への負荷による不快感を軽減するってのがメインなんですね。

脳への負荷はあまり変わらないんですね。負担が無くなるってわけではなくて。

Q.副作用はある?

FumaricAcid

抗コリン薬は、緑内障・前立腺肥大に悪さをするので、患っている人は飲まない方が良いです。
抗コリン薬の入ってない酔い止め(抗ヒスタミン薬のみ)の薬もあります。

FumaricAcid

詳しくは、現場のお医者さんや薬剤師さんに相談してね!

酔い止め全般に言えること

「飲んだ後は乗り物を運転しない」
抗コリン薬は「光の刺激を強くさせ影響が出る成分のスコポラミン」
抗ヒスタミン薬の一部には「眠くなりやすい成分のジフェンヒドラミンが(睡眠改善薬と同じくらい)入っている」
スコポラミンは、VRをする分にはない方が良い。個人差はあるが、まぶしく感じる人も。

Q.酔い止めはいつ飲むのがベスト?

FumaricAcid

抗コリン薬→乗り物に乗る・VRをする30分前を目安に飲む。
抗ヒスタミン薬→酔ってる途中に飲んでもOK。

Q.酔い止め薬と一緒に飲む飲み物は?

FumaricAcid

水・お茶・コーラ・コーヒーでもなんでもOKです。

Q.VRを使ってる上で薬剤師さん目線での酔い止め薬以外の対処法は?

FumaricAcid

ストレスを溜めないこと。
落ち着きがなくストレスを溜めてしまうと、自律神経が乱れて酔いやすくなる。
なので、リラックスした状態でVRをした方が酔いづらいです。

ゆーてる

「病は気から」ってマジだったのか…!

FumaricAcid

「酔う」と思うと(自己暗示で)余計に酔いやすくなる。
気持ち悪くなったら休憩したり換気をしたり、飲酒を避けましょう。

ゆーてる

「早く寝る」のが一番ですね…w

乗り物酔いが人体に起きる理由は?VR酔いの起源は古代に!?

FumaricAcid

酔いっていう機能が、なぜ身体に備わってると思いますか?

ゆーてる

デバフにしか思えないんですけど、ちゃんと理由があるんですよね?

FumaricAcid

ちゃんと理由があってこういう症状が起きてるんです。
昔の時代の(食に関しての)脅威って「毒」じゃないですか?

FumaricAcid

今で毒と言えば「麻薬」で、非現実的な映像(幻覚)を見たりしますよね。
で、身体は悪い成分を吐きだしたいじゃないですか。
「気持ち悪くなる→吐き気がする」という信号が毒を食べた時に必要ですよね。

ゆーてる

「身体に毒があるよ」っていうのを視覚を通して、毒があるって認識して体外に吐き出そうと…

FumaricAcid

そうそう、目で見た情報と頭の中のイメージが合致しないときに「これは毒だ!吐き出そう!」ってなるのが酔いの元々の起源という説があるんですよ。

ゆーてる

VRChatってある意味幻覚じゃん!w

FumaricAcid

我々は、幻覚を見ているんですよ毎日。

ゆーてる

そりゃ、初心者にとっては気分悪くなる…幻覚と一緒かあ。

FumaricAcid

こんなカワイイ子たくさんいるなんて現実ではありえませんからね。

ゆーてる

まあ、みんな獣耳なんて生えてないしメカもいないし空なんて飛べないし、それはそう。

普段過ごしている世界とのギャップゆえにVRChatの世界を身体が「幻覚」として認識しちゃってるってこと…w

2人

www

ゆーてる

慣れっていうのは、ここもひとつの現実と身体が認識しはじめて、幻覚が現実に変わって酔いにならなくなるって…そういうこと!?

FumaricAcid

毎日それに耐性が出来てきて、そっちが現実だと思い込んでしまう…我々は。

ゆーてる

納得感高いですね…w

「VRChatの世界は一種の幻覚?」

FumaricAcid

生物学的な話だと、頭の中で処理している映像っていうのは「これからどういう風に動くのか」っていう記憶なんですよ。記憶をたくさん蓄積していれば、バーチャルの映像とのズレが軽減できるので、蓄積が慣れだったりするんですよね。

ゆーてる

予想外の映像ばかり流れ込んできて混乱しちゃうっていうところが…(VR体験は)気持ち以上に身体も混乱してるんですね。VRChat始めたての人っていうのは…

ぶっ飛んでる仮説の割には、納得感が非常に高いと思う…

FumaricAcid

我々は、バーチャルという名の現実に浸ってるのかもしれないですね。

VR内でできる対処法も

VRの世界では、酔い防止のために「テレポート移動」や「視点の角度移動」を採用しているゲームやVRSNSなどが多くあります。
視点の設定(おまけで紹介)をしたり、力技として先ほど触れた「慣れる」が答えなのかも。

一番の対処法としては、今被っている頭のそれを外し休憩することです。

さいごに

今回の記事以外にも製薬会社のサイトでは、乗り物・画面酔いについての予防法以外にも、対策など多く紹介されているので、必見です!
それでは、良きVRライフを!

薬を服用する際は、使用上の注意をよく読み、用法・用量を守ってお使いください。

エスエス製薬:乗り物酔いの予防法

https://www.ssp.co.jp/aneron/prevention/

大正製薬:乗り物酔いの豆知識

https://brand.taisho.co.jp/semper/trivia/

関連記事

おまけ VRChatでの酔いにくい設定

VRChatでは、移動方法を変えることにより画面・VR酔いを軽減できる機能があります。

メニューの歯車タブから設定・変更ができます。

Launch Padから簡易的な設定ができます。

オレンジで囲った部分(Comfort Mode)で、視点方法の変更ができます。

拡大ボタンを押したメインメニューからはさらに多く設定できます。

上記画像の大きいメニューでは、赤で囲った部分で変更できます。

Comfort Turning視点移動をカクカクにする。
3rd Person Rotationテレポート移動時、アバターの向いた方向を視点にする。
Locomotion and tunneling(またはComfort Mode)左から「通常の一人称視点」「酔い軽減機能のある一人称視点」「テレポート移動(VRモードのみ)」(違いは下のスライドを見てね)
酔いに関する設定項目の一覧

「酔い軽減機能のある一人称視点」に関しては、移動時、視界の周りに固定された背景が表示され、テレビを見ているような視点になるので多少は酔いづらくなると思われます。(下画像参照)

他にフレームレートを上げる、視点が激しく動くワールドやギミックを使わないなどあります。

自分に合ったプレイスタイルを設定してみてくださいね!