バチャマガ交換日記とは
様々な記事を書いているバチャマガスタッフですが、それぞれ得意分野やライフスタイルが異なります。普段何してるの?どういうことに興味があるの?ってのを知りたいという話になり、交換日記という体で連載を行うことになりました。
このコラム連載では、大体何を書いても良い(VRSNSに関係なくてもオッケー)というフワッとしたレギュレーションでお送りします。普段バチャマガでお届けしているVRSNSの話題はもちろん、ARやVTuberなどのXR界隈にとどまらず、散歩中に起こった出来事などのリアルの話でさえOKとなります。
つまりなんでもあり。広い心でお読みいただければ幸いです。
前回の日記はこちら。
ごあいさつ
どうも皆様こんにちは、ゆーてる編集長から交換日記のバトンを受け取りました、ないんと申します。
バチャマガへは寄稿記事を書かせていただいた縁でジョインさせてもらい、現在は正ライターとして活動させてもらっております。VRChatでは普通の一般人として活動しているので、周りのすごい人たちに恐れ慄くばかりです。
ここ最近リアルが忙しく、VRChat・ライター活動共に停滞気味になっていたのですが、そろそろ本格的に活動再開したい所存。VRChat内で見かけたら、声をかけてくれると嬉しいです。
さて本題は交換日記。内容に悩みましたが、先月銭湯に行った時の体験(実話)の話をエッセイ風に書いてみました。楽しんでいってくださいませ。
VS 常連爺さん in 銭湯
前の家に住んでいた頃、「温泉に入りてぇ!」と思った時は近所の所謂“スーパー銭湯”に行くのを習慣にしていた。スーパー銭湯は、値段は張るが設備がすごい。色々な種類の湯船に(利用したことはないが)食事処や休憩室などエンターテイメント性に満ち溢れていて、値段に見合った満足度があるのだ。
しかし、引っ越したことでその習慣は失われてしまった。近所に大きな銭湯がないのだ。スーパー銭湯に入りすぎたせいなのか、どうも自分の中で銭湯に行くことにある種のエンターテイメント性を求めている節がある。そういうわけで、こじんまりとした銭湯にはあまり食指が伸びなかったのだ。
そんなある時、平日休みの日が出来たので「行かず嫌いになっている近所の銭湯に行こう」と思い立った。平日昼過ぎなら空いていてゆっくり出来るかもしれない、そんなことを考えながら初めて近所の銭湯へ。
行ったのは東京都台東区にある『鶴の湯』。東京下町にある古き良き銭湯だ。
年季を感じさせる佇まいが非常に良い。番台のおばちゃんにお金を渡して脱衣所へ。脱いだ服を籠に投げ込み、浴場のドアを開ける。
おお、これが下町の銭湯か。こじんまりとしていて全体的に設備がボロ…古いが、これもまた風情と思えば悪くないな。そんなことを思いながら後ろ手にドアを閉める。すると、入り口近くの洗い場で頭を洗っていた爺さんがこちらを見上げる。そして、
両手の人差し指を立て、扉を閉めろというジェスチャーをしてくる。振り返って見れば確かに片方のドアが半開きになっている。古い作りのスライドドアなので、やさしく閉めないと反動で反対側が半開きになってしまう構造だったのだ。
「あっ、すみません!」
慌てて平謝りしてドアを閉める。爺さんに視線を戻すとこちらに一つ頷き、何事もなかったかのように黙々と頭を洗い始めた。出鼻を挫かれたような気持ちで、爺さんから少し離れた位置で体を洗う。体を洗っている間、新たな客が二人ほど浴場に入ってきたが、皆やさしくドアを閉めていた。初見殺しというやつだ。
時間をかけて念入りに体を洗う爺さんを横目に手早く体を洗い、湯船の方へ。“江戸っ子達は熱い湯を好むから、下町の銭湯のお湯の設定温度は熱い”なんて噂を聞いたことあるが本当だろうか。そんなことを思いつつ無警戒で湯船の中へ足を突っ込む。
「ぁっつ!!!」
思わず小さく声が出た。噂通り、下町の銭湯は本当に熱かった。思わず足を引っこ抜こうと思ったが、先程の爺さんがちょうどこちらに向かってきた。どうやら爺さんも湯船につかろうとしているようだった。これ以上爺さんに醜態を晒すわけにはいかない、という謎の対抗心で我慢してゆっくりと肩までつかる。
いや本当に熱い。熱さに耐えつつ爺さんの様子を伺う。常連らしき爺さんだから、こんな熱湯にも眉一つ動かさず入るのだろうかと思って観察していると、爺さんは湯船に足だけ入れて、縁に腰を掛けた。思わず、「入らないんかい!」と心の中でツッコミを入れてしまった。そうこうしていると爺さんは意を決したようにさっと湯船につかり、そして耐えられなくなったのか1分するかしないうちに出ていってしまった。
爺さんに勝った。
謎の達成感を味わい、湯船の中から爺さんを見送る。浴場には、平日の昼過ぎというのも相まってか不思議と弛緩した空気が流れていた。エンターテイメント性はないが(爺さんとの戦いはエンターテイメントだったが)、こういうのもいいな。設備は古いしお湯は熱いけど、ノスタルジックで落ち着く良い雰囲気だ。
勝手に仕掛けた我慢比べで爺さんに勝ったものの、すぐ後に出るのも負けた気がするので、脱衣所の爺さんのシルエットが消えるまで耐える。爺さんの気配が消えた瞬間湯船から素早く上がり、シャワーを浴びて赤くなって湯気をあげている体を冷ます。なんか頭がぼーっとする。熱湯に長くつかりすぎたのだ。
これを書きながら、何故下町の銭湯のお湯が熱いのかを調べてみた。諸説あるそうだが、昔の銭湯は衛生管理上42度以上のお湯が義務付けられており、東京の銭湯は特にお湯が熱かったそうだ。人が多くて芋洗い状態になりやすかったため、熱めのお湯で殺菌消毒作用を高めていたらしい。
そのお湯の熱さが現代まで引き継がれ、最終的に文化にまで昇華されたものがこのお湯の熱さ。そして一説によればその熱いお湯にさっとつかり、ぱっと出ていくのが江戸っ子的には“粋”なのだという。つまり爺さんはおそらく生粋の江戸っ子で、妙な対抗心を燃やして粘っていた自分は“粋”ではなかったのだ……。
無理に熱湯に長く入っていたせいなのか、体の火照りとぼーっとする感じは夜まで続いた。どうやら入り方を間違えたようだ。爺さんは正しかった。
ドアの力加減と湯船につかる時間を忘れないうちに、またリベンジしに行ってこよう。
銭湯探しは続行中
今回行ってきた『鶴の湯』はノスタルジーに浸れるレトロで良い銭湯なので、機会があったら是非行ってみてください。お湯は本当に熱いのでそれだけは注意を。しかしゆっくりと長湯できるタイプの銭湯ではなかったので、銭湯探しの旅は続く。
今回のイメージ映像の撮影に訪れたワールドはこちら。
銭湯(Bathhouse)
Konparuyu Sento 金春湯
以前銭湯ワールドレビューも書いていたのでこちらも是非。
前の方からの質問
前回のゆーてる編集長からの質問、
「今のあなたの目の前に、VRChat初心者のころのあなたが現れたら、
操作方法以外に何を伝えますか?」
これは明確に一つ思いつくことがありまして、
それは「野生のVRChatterは怖くないよ」ということ。
VRChat始めたての頃は、噂や先入観からか“VRChatは魔境”とか“Publicインスタンスはやばいところ”という根も葉もない偏見を持っていて、リアルフレンドとのみしか遊んでいませんでした。そんな折に学園系イベントに参加する機会があり、その縁でバチャマガへ。そして取材や執筆活動を通して色々な人と出会い、交流してきました。
確かに所謂『荒らし』に遭遇したことはあります。しかし、それは本当に全体の極一部。そんな奴らの存在が霞むほど、沢山の良い人たちに出会いました。知らない人との交流は、どうしても一定の勇気のいる行為で、ストレスを感じることもあります。しかし、閉じこもっていてはどんな物語も始まらないのだ!
VRChat始めたての自分へ、野生のVRChatterは怖くないよ。
いろんなところに遊びに行っておいで。
ちょっとエモく締めたあとの余談
前回のゆーてる編集長が行ったと言っていた『うんこミュージアム TOKYO』。先月たまたま前を通り過ぎる機会があり、せっかくなのでのぞいてみたところ、
「うんこー!」
確かに魂の叫びが聞こえてきました。すごいところだな……
次の方への質問
「自分のメインアバターとの出会い」
人との出会いは一期一会。そしてアバターとの出会いも一期一会……なのかはわかりませんが、バーチャルの自分の肉体との出会いや、購入までの葛藤があったと思います。
どういう経緯で出会い、どんな思いで入手したのか。そこにどんなドラマがあったのか、あるいはなかったのか。是非教えてくださいませ!
以上、ないんがお送りしました。また記事やVRChat内でお会いしましょう!
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