
リアルもあった!? 新宿メタシアター!!
2023年11月23〜26日の4日間の開催となる『メタシアター演劇祭』では、VR空間内に用意された「舞台」を活用する様々なパフォーマンスが登場します。普段からVRパフォーマンスに取り組む人もいれば、はじめて演劇や演出に挑む人も参加しており、新たなつながりと新たな開拓がひしめき合う幅広いイベントとなっています。
そんな中、実はメタシアター演劇祭はリアルでのイベントも開催していたのです。

バーチャルライフマガジンは微力ながら、メタシアター演劇祭の後援団体のひとつとして参加しています。出演団体募集を呼びかける記事や、プレ公演レポートといった活動により、筆者である私自身、演劇やVRパフォーマンスへの興味が強まっていきました。
あるとき、「リアルイベントへのお手伝いを募集」というお話が出ました。あくまでもバーチャルライフマガジンの記者として取材をしていた私でしたが、このときは興味が先走って個人として志願しました。
せっかくリアルイベントへ行くのだからと、その報告も含めた形でメタシアター演劇祭を紹介していきたい…… そのような思いが強くなり、恐縮ながらこの連日レポートは公私入り交じるものとなりますことを、何卒ご容赦いただきたく存じます。
……というよりも、予定されている公演のインスタンスがすぐに観客で埋まってしまう!! こうなったら自分が見た範囲で書くしかない!! ひとりの記者である前に、ひとりの観客としての視点で綴りたいと思います。

メタシアター演劇祭リアルイベントは、新宿NEUUのイベントスペースで実施されました。初日である23日は「VR劇場ツアー」です。
NEUUに常設されている複数のVR機器で、来訪されたお客様をVRChatへ招待するという内容です。この日は「VR演劇の紹介」「VR劇場の裏方ギミック体験」とし、VRChat内にログインしているアテンダーへお客様をつなげ、実際に1時間ほどのコミュニケーションを取ってもらうという構成となっていました。
私はリアル側、つまりNEUUでお客様への受付や、イベント内容の案内といった対応を行いました。開催時間としては午前11時〜午後1時の短いものではあったものの、はじめての事だらけでどんなことが起こるか分からない、そもそもどんなお客様がどれほどやってくるのかも読めない…… 果たしてうまくいくのだろうか? と、常に何かが足りないような不安の中にありました。
同時に利用できるアカウントは2〜3台程度でしたが、最終的には7名ほどの方がご来訪され、準備していた時間やVR側スタッフの割り当てなども、蓋を開けてみれば最大限の稼働となったように思います。

VRでの案内は遠隔地にいるアテンダーがVRChat内で来訪者と直接やりとりして進行する
メタシアター演劇祭で使用される劇場にはスポットライトや幕の操作といった裏方ギミックが実装されていますが、本来これらの裏方ギミックは出演者でなければ触れる機会が無いので、興味深く楽しそうに操作しているお客様がいたのが印象的でした。
ですが、新しい試みであったとはいえ…… かなり準備に手間取ることとなり、ご来訪いただいた方々をお待たせしてしまうなど、案内不十分な面は拭いきれませんでした。VR側のアテンダーの皆様にもご迷惑をおかけしてしまったと思います。楽しんでいただけたはず!! とは思いますが、この場をお借りして改めてお詫び申し上げたく思います。
結果として大きな事故もなく終えられ、夜の「本番」を楽しむぞ!! と帰宅しました。

聴き入った……! エントランスワールド路上音楽ライブ
メタシアター演劇祭にはパフォーマンスを行うための舞台ワールドが、大中小の3サイズ用意されています。それとは別に、告知スペースを併設した屋外エントランスワールドも存在しており、初日は「メタシアター音楽祭」と題して路上ライブ形式の演奏会が催されていました。
各舞台を回る前に、エントランスワールドを巡ってみようと考えていたところ、開始時間の21時で既にインスタンス最大の70名に達しており、すぐには入れませんでした。様子がおかしいぞ? と思いつつJoinに成功した私は、急いで路上ライブ会場へ向かうことにしたのです。
正直なところ、エントランスワールドで演奏されると聞いた時には、BGM的にちょっとした曲が流れてくる感じだろうと軽く捉えていました。 ──会場に近づいてベースの音が聞こえてくるまでは。
詳しい訳ではないのですが、私はジャズ方面の音楽が好きです。そのベースの音が聞こえてきた時、学生時代に入っていたジャズ研究部での活動がワッとよみがえり、一瞬で「これは良い演奏を聞けるぞ!」と直観しました。

結論を言えば、初日はずっとエントランスワールドに居続けることとなりました。(はじめのうちは入れなかったものの)出演されたすべてのライブ演奏に聴き入ってしまったのです。ちょっとしたBGMだなんてとんでもない!! なぜこれが野外ライブに? それぞれのグループがどれかの劇場を使ってひとつの舞台として出場していたとしても全くおかしくはない…… それほどのレベルだったと思います。
StrollZ さんというグループではメンバー紹介の際、ちょっとした音出しで伝説的ベーシスト Jaco Pastrius の “The Chicken” で流れる短いフレーズを奏でていた事に気づきました。それを受けた他のメンバーがやはり同曲のフレーズで反応しており、私としては「ジャズセッション…… やっておるな!」と叫びそうになるほどブチ上がっていまして取材そっちのけだったと思います。すみません。

手前のカラフルなクリスタルを触れば誰でも音を差し込めるようになっている
StrollZ さんの演奏はジャンルとしてはフュージョンだったかと思います。(ジャズを基調として、ロックなどを混ぜたような曲調のもの) 即興性という意味では、その次に出演した Ku_Ambientflow さんも非常に特徴的でした。
恥ずかしながら私はVRChat内で実施される音楽事情に疎く、そもそもバンド演奏がインスタンス内で実現できていること自体に驚いている訳なのですが、Ku_Ambientflow さんは演奏そのものに加えて「その場にいる視聴者が触って音を奏でられるアバターギミック」を展開しはじめたことで、その新しさに感動せざるを得ませんでした。

観客は安心してクリスタルへ触れられる
演奏には前段の StrollZ さんのメンバーも加わって、激しさを抑えたアンビエントな曲を中心としていました。(環境音楽とも呼ばれる、空間を包み込むような雰囲気を持つジャンル)
曲調は控えめなものの、音楽はずっと途切れず、MCもノンストップ。観客も立ち位置を気にする必要なく、邪魔する心配もなしに音を混ぜられる…… とても新しい試みだと感じました。
後半はテンションを上げて激しめのセッションとなり、これほどの即興性はジャズセッションでもそう簡単には実現できないのではないかと思います。物理の壁を越えようとする表現を目の当たりにできたような気がしました。

最後は猫宮ニッチさんという歌手の方を中心としたバンド演奏でした。軽い挨拶から歌い出しへの本格的な声の変化に息を呑み、思わず「歌うまっ」とリアルで呟いてしまったのですが、マイクミュートにしててよかった……
途中でスピッツの『ロビンソン』をブルースのように歌い上げられ、その魂こもった歌声に世代ストライクの私は身体の動きを止められず、めちゃめちゃアバターが動いてしまってたと思います。新宿リアルイベントで疲れ果てた身体を、最後にとても癒やしてもらえた、素晴らしい路上ライブでした。
ワールド人数制限で、たった70人程度しかこの良さに触れられないなんて……!! できることなら最初から聞きたかったと思わずにはいられません。「演劇祭」ではありますが、どんな出会いがあるか分からない……!! ジャンルにとらわれず、どんどんパフォーマンスへ足を運んでみよう!!
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