『NEOKET』は同人即売会の救世主となるか?【体験レポート】

様々な同人即売会が中止となっているこのご時世。
代用として各地でオンラインイベントが企画されていますが、NEOKETもその一環として誕生しました。

VRプラットフォームのマス取り合戦が白熱する最中、NEOKETはポジションを確立できるのか、率直に体験してきた感想を書きたいと思います。

NEOKETの特徴:現実の同人即売会の雰囲気を忠実に再現しようとしてる感じ

NEOKETを1日回った印象としては『現実の同人即売会をそのままバーチャル上で再現したいんだな』といった印象でした。

開催日が土曜日の11ː00~18ː00の間という時間を絞った開催なのも現実の同人即売会と同じタイムスケジュール。

バーチャルイベントなら24時間開催することも可能なのですが、運営的な視点で考察するならば、あえて時間を絞ることにより人を密集させて盛り上がっている印象を演出したいのかな。

各島に巡回スタッフがいるのも現実の同人即売会さながら。
ちゃんと中に人がいて受け答えしてくれます。

ワールドモデラーやプログラマーなどの技術職だけでなく、案内スタッフという役割の人がいるのも現実っぽい。

今後バーチャルの世界が普及してきたらこういったところでの雇用機会も増えるのかな~と思わせる一面でした。

良かった点

  • BOOTHとの連携の良さ。空間内でワンクリックで商品が買える。

NEOKETにおいて一番の利点といえばこの点に尽きるのではないでしょうか。
現在様々なVRプラットフォームが開発されていますが、VR空間内で経済圏を確立したいと開発しているプラットフォームは多いです。

そんな中、NEOKETはそれを見事体現したプラットフォームとなったのではないでしょうか。

BOOTHとの連携なので、あくまで“同人即売における経済”というピンポイントなものですが、『VR空間でやりたい経済活動ってこういう事だよね』という手本になるものだったかと思います。

  • 同時接続数の多さ

これもNEOKETが当初から推していたポイントですが、1つの空間に最大1000人が入れるという未だかつてない数の人数が入れる点も良いポイントだったのではないでしょうか。

ただ実際1000人に到達した空間はなく、最大でも200人程度、そして遠くの人のアバターは表示されないので画面に映る範囲だと30~40人といった感じなので、カタログスペック的に公表している1000人という数と実際の賑やかさの体感は違います。
それを考慮しても他プラットフォームと比べれば表示人数は確かに多いほうだと思います。

  • VRユーザー以外の参加が多い

オンライン(特にVR)イベントとなるとVR機材を持っている層に偏った物販やイベント内容になりがちですが、NEOKETは『オールジャンル同人即売会』という名だけあって、普段同人即売会に出展している同人作家さんが多く参戦しているようでした。

同人作家さんからすると『バーチャルのモデルとか洋服の出店が多かった』という意見も上がっていますが、総じて見るとイラスト本・小説・同人誌が7割、残りがモデルやテクスチャ販売といった感じ。

オリジナル作品がメインで二次創作はほぼないのがコミケとは違うポイント。
どちらかというとコミケよりコミティアに近い雰囲気でした。

頑張ってほしい点

ここが惜しいという点もあるので正直に書こうと思います。
ただこれは正直NEOKETが悪いというよりかは現代の技術の限界点がここなんだろうな~という面も含まれるので、そういったことを考慮しつつ読んでもらえればと思います。

  • VRモードは正直微妙…

デスクトップモード・VRモード、両方に対応しているNEOKETですが、正直VRモードは快適とは言いづらかったです。

ホロポート移動なので移動が遅かったり、手が表示されないので物を取ったりするのが難しい。そもそもメニュー選択も非常にやりづらい。

なのでほぼデスクトップモードでしかNEOKETを楽しめない感じ。

まだVRを前提にした作りだったら新しいメタバース感がありますが、デスクトップモードでのMMOは星の数ほど出尽くしているので、NEOKETの比較対象がそれらになってしまうと目新しさというのは薄れてしまうのではないでしょうか。

デスクトップメタバースだと10年前にセカンドライフやキャッスルパーティーがすでに文化を開拓しつくしているので、個人的には新鮮な感じはなかったかも…。

逆にセカンドライフの時代を経験していない若い層には一周回って新かったりするのかな。

  • ボイスチャットが機能していない

ボイスチャットが機能していなったのも痛い点です。

個別のグループチャットでの会話は一部行えたのですが、音が途切れ途切れだったり、音声がモノラルなので誰が喋ってるのか全然判断できないのがつらかったです。

多人数同時接続を売りにするならば空間における音の聞こえはこだわってほしかったところ。
30人40人が同じ音量で喋ってたら聖徳太子でも聞き取れないよ!!

なので参加者の方はほぼほぼテキストチャットでコミュニケーションを行っていました。
(テキストチャットでコミュニケーションするのも平成初期のMMOって感じでどこか懐かしさあるんですよね…)

  • 人数はいても生きてる感じがしない

これは前述のVRモードがほぼ機能していない点にも通じる話なのですが、ほぼ全員がデスクトップモードでの参加だったのでアバターは棒立ち状態。

それに加え音声チャットも機能していないので、人がたくさんいてもNPC感が否めなかったのは悲しい…。

運営が目指していたイベントでのガヤガヤ感・盛り上がりという点においてはクリアできてなかったかなと思います。

総評:NEOKETは理想の未来を一足先に体験できる展示会だった

総評するとNEOKETがやりたいことがひしひしと伝わるイベントだったなという印象でした。
つまるところ現実の展示即売会をバーチャル空間上に持っていきたい、という感じ。

実際現実の展示即売会に出展している経験のある人の感想は『コミケっぽい!』とか『即売会の雰囲気を味わえてよかった』と好評のようです。

特に現在は軒並みリアルイベントが中止になっているご時世ですから、オンライン上で展示即売会を再現するプラットフォームは渇望されている風潮があります。

とびきり斬新なシステムはなかったですが、求められているものの形は用意出来ているのではないでしょうか。
実際それが上手く機能しているかという点は惜しいところが多々見受けられましたが、ただこれは現在の技術の限界点でもあるのかな。

実際本当に同じ空間に1000人人が集まって、声や音も現実と同じような立体的な聞こえ方で、手や足が自由に動かせて、バーチャル空間内で物が買えて…となったらめちゃすごいですが、これらすべてをクリアできているプラットフォームは現在皆無です。

なので言うなればNEOKET自体も未来のプラットフォームの理想を形どった展示会だったのではないでしょうか?

大阪万博で未来の車を見て『将来こんなのに乗れたらいいな~』って理想を思い描くのと同じ感覚で、将来のプラットフォームがこんな風だったらいいな~っていうのを体現したのがNEOKETでした。

でもそう考えると1970年当初の大阪万博で展示されていた2020年の未来予想はそんなに当たってなくて、一家に一台お手伝いロボットがいるわけでもなく、月や火星に人が住んでいるわけでもなく、未来予想図に全く出てこなかったスマートフォンが人類の生活を支配しているわけですが、未来のプラットフォームも全然予想しなかったUIが普及しているかもしれません。

いったいどこが先にVRプラットフォームの礎を築き上げるのか。
NEOKETもその“未来”を開拓するプラットフォームの1つとして今後発展していきそうです。