VR空間での写真撮影が仕事になる時代。今注目のVRワーク『バーチャルフォトグラファー』とは?

現在VRメタバースの中では3Dモデル販売やVRイベント、音楽・ダンスなど、様々なクリエイター・アーティストたちが活躍をしています。
VR世界の中から誕生したクリエイター・アーティストはVR世界の中だけにとどまらず、現実世界でパフォーマンスを行ったり、仕事のオファーを受けることも多くなってきました。

そうした中、新しく生まれたVRワーク、『バーチャルフォトグラファー』が今注目を浴びています。

バーチャルフォトグラファーとは何か、今後どのような需要が高まっていくのか、バーチャルフォトグラファーの先駆けである人物、えこちん(@ecochin)さんにお話を伺いました。

えこちん(@ecochin)

2021年4月頃より『バーチャルフォトグラファー』として活動を開始。これまでに様々なイベントやVTuber・アーティストの写真撮影を行う。
VRChat内では自身の撮影した写真を展示する美術館『Gallery lens』を公開中。

ーーえこちんさんはバーチャルフォトグラファーとして活動されているという事ですが、これまでの活動について簡単に教えていただけますか?

はい、2021年の4月あたりから“バーチャルフォトグラファー”と名乗り始めて、これまで様々なバーチャルイベントの撮影、VTuber・VSingerさんのブロマイド撮影などをしています。

具体的にはさっぽろ雪まつりの公認バーチャルイベントの1つ『V雪スペシャルライブinVRChat』のライブ撮影を行ったり、ニッポン放送がプロデュースした『VRミュージックソン』の撮影、VSingerの『江戸レナ』さんのブロマイド撮影などを行っています。

ーーバーチャル世界の様々なシーンでご活躍されているのですね。
バーチャルの世界で活躍するフォトグラファー、バーチャルフォトグラファーという単語は最近VRコミュニティ内でよく耳にするのですが、このバーチャルフォトグラファーという言葉はいつごろから生まれたものなのでしょうか。

言葉が生まれたのは今年2021年の4月~5月頃からですね。
もともとバーチャルフォトグラファーという単語が生まれる前から個人的にバーチャル内での写真撮影をしていたんですが、どういう活動をしているのかっていうのが他者から見て分かりにくいので、友人たちと一緒に『何か名前つくろうよ!』って話になったんです。

それで、どういう名前がかカッコいいかなって考えて、『バーチャルフォトグラファーってかっこよくない?』って話になって。

それいいじゃん!って使っていたんです。

そこから間もなくなんですが、友人の1人であるTokikazeさん(@tokikaze_ikebo)がRBK毎日放送で放送されている『エンタテ!区』という番組に出演し、バーチャルフォトグラファーの名前を名乗って。そこからはもう一気に広がって。

すごい勢いでVRコミュニティ内の認知度が広がりました。

ーーえこちんさんはリアルでも写真撮影の活動をされているのですか?

いえ、実はリアルでは何もしたこと無いんですよ(笑)
私、バーチャル生まれのフォトグラファーなんです。

バーチャルで活動するフォトグラファーはVR内だけでなく、他のゲーム内でもいらっしゃいます。
ロックサーチさんが主催している『新デフォルトカメラフォトコン』の審査員の中にもELI_THE_WALKER(@ETW_RMX_VP)さんという、ゲーム内の写真を専門に撮る方がいらっしゃるんですが、ゲーム内の写真を撮影する文化と言うのはすごく発展しているみたいです。

ちょっと前にはメタルギアシリーズを手掛ける小島監督がバーチャルフォトグラファーについてTwitterで言及していて話題になったんですね。

オフラインのゲームでも写真家がいて、僕はそういった人たちをインゲームバーチャルフォトグラファーと呼んでいるんですけど、今のゲームはゲームの中に写真撮影機能というのがあったりするんです。

私もノーティードッグという会社が制作した『アンチャーテッド4』というゲーム内で写真撮影して遊んでたんですよ。

撮影した写真はPlayStation4から直接Twitterに投稿できるサービスがあるので、それで投稿したりしてて。ユーザー投稿の写真を展示する公式主催の写真展なんかも開かれたりして、ゲーム内写真の文化は今盛り上がりを見せています。

今のゲームってグラフィックがかなり進化してますので、写真としての力もだいぶ強いんじゃないかな。

VRChat内で言えば、最近ではメニューのアップデートに伴って、カメラにもズームや被写界深度が調整できる機能が追加されています。

公式のカメラのアップデート以前にもVirtualLensVRCLensといった、ユーザーが開発したVRChatのカメラの拡張ツールが配布されていて、VR内で深みのある写真が撮れるようになってきました。

ただのゲームのスクリーンショットから“写真”に変わった瞬間ですね。

ーー確かに、フォーカス機能が出てから写真に奥行きや立体感が出て、より“そこにいる感”を伝えられるようになりましたよね。

ーーそういえば、えこちんさんはVRChat内にご自身の写真を展示したギャラリーを製作しているのだとか

すごくいい写真が撮れた時にはTwitterに写真を投稿するんですけど、Twitterだと月日が流れていく毎に遡りにくくなっちゃうじゃないですか。

なので、これは勿体ないなという事でVRChat内にギャラリーを作りました。

“今VRChatではこんな写真が撮れるんだよ”っていうのを紹介したいという気持ちもあったのですが、私のギャラリーを見てバーチャルフォトグラファーの活動を始めた方もいて、嬉しかったですね。

ーーVRで写真を撮ることのコツなどはありますか?

写真撮影については何か特別知識があった訳ではないので説明するのが難しいのですが、私の中では2つポイントがあります。

1つは…僕は元々リアルではデザイン関係の仕事をしてるんですよ。
学生の頃から絵を描いている影響か、構図取りとかの意識は写真にも生かされているのかなと思います。

なので写真の構図だと『日の丸構図』とか『一点透視構図』とかいろいろ種類があるんですけど、そういうのを知らずに『こういうのを撮ったら面白い構図になるな』というのを感覚的にやっているところはあります。

もう1つはモデルとしての技術なんですけど、自分が被写体になる時にどうしたらきれいに映るかのポージングについて。僕は毎週土曜日にVRChat内で開かれる『SilentClub』というクラブイベントにずっと通っていて。そこで毎週2時間くらいひたすら踊ってるんですよ。

そこで体の動かし方だったりとか、ポージングとか自然と身についてきたところがあります。
あと、イラストを描いている時にもポージングは意識するので、そういう所から影響されて“絵になるポージング”というのが出来るのかなと思います。

ーーそうなのですね。
個人的な感覚ですが、アバターの姿だと現実よりも自由にポーズが取れますよね。
どうしても現実だと恥じらいが出ますし…(笑)

そうですね。僕もバーチャル内ならどんなポーズも取れるんですけど、家の鏡に向かっては出来ないですね、さすがに(笑)

ーーバーチャルならではの写真の撮り方などあるのでしょうか。

ありますね。バーチャルならではの写真の撮り方としては、ドローン撮影が簡単にできるという点があります。空間のどこにでもカメラを飛ばせるので、被写体の自然な姿の写真を撮ることが出来たり、高いところからの撮影や離れた場所での撮影が簡単に出来ます。

ーー確かに、現実だとドローン飛ばすにも地方航空局の許可撮らなきゃいけないですもんね。

そうですね(笑)

バーチャルで写真をうまく撮るためにはとにかくたくさん写真を撮ると良いかと思います。
バーチャルならフィルム代も機材代もかかりませんから。PCの容量が許す限りですけどね!

ーー今後バーチャルフォトグラファーはどのようなシーンで需要が求められそうですか?

私が現在やっている活動でもあるんですけど、VTubeの方であったり、歌を中心に活動されているVSingerの方がVR空間に来てライブをすることがあるんですね。

例えば今年で言えばVRMFという大きなVR音楽祭があったんですけど、そういったVR空間のライブの撮影やプロモーション撮影などにバーチャルフォトグラファーが求められていくのではないかと思います。

実際私もVSingerの江戸レナさんやVRChat発の音楽グループAMOKAさんの写真撮影を行っていて、撮影した写真がポスターとして活用されたり、ブロマイドなどのグッズに使われたりしています。

その他にもVR空間を活用したMVの撮影だったり、広告用の写真撮影など、いろいろ可能性はあるかなと。

それから、今VR空間内でフォトコンテストが盛り上がっていますから、写真撮影の文化はもっと発展していきそうです。
バーチャルフォトコンテストの協賛で実際のカメラの会社さんが来てくれたら嬉しいですよね。
現実世界の写真家の方が審査員だったりとか、最優秀賞の方にはカメラをプレゼント!とか。

そうやってバーチャルと現実が交わっていったらいいなと思っています。

現実の世界の写真家さんがバーチャルに来てくれたり、逆にバーチャルの世界のフォトグラファーが外の世界にも進出するきっかけになったり。

そうやって世界が広がっていったらいいですよね。

ーーお話ありがとうございます。最後に何か宣伝などありますか?

バーチャルフォトグラファーとしての宣伝では、アバターの撮影やワールドの撮影、イベント撮影など、タイミングが合えば撮影に伺いますので声かけていただければと思います。

それから、今僕が手に持っているカメラは、僕が制作した『エコカメラ』っていうものなんですけど、今冬開催されるバーチャルマーケット2021では、このカメラの着せ替えテクスチャを20種類ほど出展する予定なので購入してくれると嬉しいです。

あとは、これは私自身の宣伝ではないのですが、VRChatの新カメラの実装で高機能な撮影が出来るようになったので、これを機にみなさん、いっぱい写真を撮ってほしいなって思っています。
バーチャル写真の文化が広まればVRがより注目されるようになりますからね。

ワールドに遊びに行く

投稿者プロフィール

みつあみ やぎこ
みつあみ やぎこバーチャルライフマガジン元編集長
やぎこだよっ!バーチャルの楽しいことたくさん発信していくよ!