2024年3日29日に、ナマズ工廠さんより発売されたVRChat向けオリジナル3Dアバター『Abyss-S-00』。ナマズ工廠は独特な世界観のメカ・アンドロイドアバターやSFチックなパーツなどを手掛けているショップだ。
『Abyss-S-00』今までリリースされたものとはまた違う異色のデザインの新作アバター!機械的でありながら野性味も兼ね備えた、惚れ惚れするほどかっこいいメカアバターを早速見ていこう!
目次
異形のシルエットを持つ、機械生命体
まず目を引くのが、メカアバターでありながら、獣のようなエッセンスも感じる、異形のシルエット。手足の鉤爪・長く伸びた尻尾など一見恐竜のようで、明らかに長い両手は特異なシルエットを形作っている。それと同時にどこか線の細さというか、女性的な雰囲気を纏っており美しい。
その姿から、立ち方によってだいぶ印象が変わるのが面白い。身をかがめれば獣のような、足を合わせて手を広げれば女性のような、着用する者の演じ方によって異なる姿を見せてくれる。
今回、撮影のモデル(アクター)をお願いしたKawasaki Silviaさんによる“動きの表現力”もあり、立ち振る舞いで「もはや別のアバターでは!?」と思えるくらい印象が変化。「ここは人型兵器っぽく!」「今度は獣っぽく!」といった言葉が飛び交っていたのが印象的だった。
細かく各部位を見ていこう。やはりまず特徴的なのが頭部のデザインだ。赤いセンサーと装甲に包まれた頭部は……骨!?
過去のナマズ工廠さんのアバターといえば、『CFA製 汎用型アンドロイド Rote Nacht』など、いわゆる純メカというか、機械・あるいは人工筋肉で構成されたような100%SF要素で構成されたアバターが主だった。
今回は明らかに有機的な、肉食恐竜の頭骨らしきものが頭として使われている。これが前述の特徴的なシルエットと合わせてこのアバターのキメラ・異形という要素を強く印象付けてくる。
見ようによってはバイザーや拘束具なのかもしれない。頭骨の目にあたる部分は露出していないが、赤い単眼のようなセンサーがその役割を果たしているのだろう。
力強い人工筋肉で構成された胴体部
人工筋肉と思しき素材で構成された胴体回り。筋肉がミチミチに詰まって力強い印象を受ける一方、腰のくびれや胸部の膨らみなどちょっと女性らしいニュアンスも感じる。
胸部や腹部に走るラインパターンはエミッションが設定されており、発光しているように見える。これがまた良いアクセントなのだ……!
胴体から生えるのは、体長よりも長い尻尾。ここも機械ではなく、人工筋肉の塊で構成されている。付け根や尾先の体表に埋もれる剥き出しのワイヤーやチューブはSF生体パーツのある種の様式美と言えるだろう。
尾先にはブレード状のものが付いている。これで打ち据えられたらスパッと真っ二つになってしまうに違いない。尻尾の先は常に動いているので、生物的な印象がより強調されている。なんだか、ちょっとかわいい気もする。
背面の……これは動力部だろうか? あるいは、生体部分を維持するための機関?装甲に守られ、一際太いパイプで胴体と繋がっているのが見える。恐らく重要な機関なのだろう。
このアバターに限った話ではないが「このパーツはなんの役割を果たしているのか?」というデザイン的な考察や「このメカの役割や機能上、どういったパーツが必要なのか」という設定上の考察をしながらメカを見るのは楽しい。それだけの魅力が、この『Abyss-S-00』には詰まっているのだ。
独特な構造の腕部・脚部
腕部。ボリュームのある肩部装甲や長い腕、そしてその先にある鋭く伸びた3本の凶悪な爪。
こんなものに襲われたらひとたまりもない。
かっこいい……!
あまりの迫力に、撮影担当の翡翠ミヅキさんが凄いテンションでシャッターを切っていた。実際に撮影された写真を見て、そのリアクションも納得。
ちなみに、Indexコントローラーでこのアバターを使う場合、この3本の爪は人差し指・中指・薬指にそれぞれ対応している。すぐには慣れないかもしれないが、ちょっとした恐竜気分を味わえるかもしれない。
脚部。つま先だけで接地するいわゆる“トリ足”や“ケモノ足”と言われる趾行動物特有のシルエットが、機動力の高さや獰猛さをイメージさせる。
これは腕もそうだが、関節部分は非常に独特な作りをしている。球体パーツをシリンダーやワイヤーで繋いだようなフレームを装甲で覆ったような中空構造だ。
人工筋肉がミチミチに詰まったような胴体とのギャップがとても良い。
デザイン上、腕と胴体は物理的には接続されておらず、足も太ももから先は機械部分になっている。つまり腕ごと、あるいは足ごと全く別のパーツに置き換えたり、または他のアバターに腕や足を移植しやすい構造になっている。もっと異形を目指すか、それとも左右非対称に仕上げるか……。いろいろと妄想が膨らむ部分だ。
多彩なシチュエーションで魅力を見せてくれるアバター
無地の白背景でこんなにかっこいいのなら、実際に使ったら他のワールドで撮影したら一体どうなるんだ!?普段は人型のアバターを使う人が多い世界なこともあり、どんな印象になるのか気になる方も多いだろう。……ということで、いくつかのワールドに行って撮影を行なってみた。
まず向かったワールドは『海上都市「エメス」⁄VLFPs "E․M․E․T․H․"』。いわゆるサイバーパンク都市のイメージで制作されたワールドだ。やはり、こういうメカものはサイバーパンクなワールドが似合わないはずがないだろう!
新作ゲームのパッケージかな?
背景も相まって強調される存在感! このワールド用にアバターをあつらえたのか? あるいはこのアバター用にワールドを作成したのか? そんなことを考えてしまうレベルで親和性が高い。
このあたりでは威圧感や脅威度を演出するため、アバタースケールの調整で身長2mくらいに設定し、撮影を行なっている。センサーや胴体のラインパターンのエミッション、この発光がグロウがかかったこのワールドと最高にマッチ……!
念のために補足しておくと「アバターの姿を正しく見せるために、写真のレタッチは基本的な事しかしていない」と撮影者。この絵は、まさしく『Abyss-S-00』本来の魅力で完成されているので脱帽だ。
車の上に着地。SF映画のワンシーンのようなカット。どう写真を撮っても絵になる。
看板上から眼下の道路を見下ろし、ターゲットを探す。
そしてサイバーパンクものならありそうな、一見危険そうなメカが普通に店番をしている図。
こういうちょっとコミカルな光景も似合うのはズルくないか?
最後は襲撃された瞬間のカット。このアバターと戦ったサイボーグの電脳に残った最後の記録の映像はきっとこんなものになるだろう。
メカアバターにサイバーパンク都市という「鬼に金棒」的な組み合わせでの撮影に満足したので、次なる撮影スポットとしてアバターのイメージと逆行した、あえて自然の森広がるワールド『あの夏に閉ざされて-Chronostasis-』へ向かった。
するとどうだろう。「文明が滅んで自然が溢れた世界に前文明の兵器が目覚めた」というようなドラマやストーリーを匂わせる写真に仕上がった。
「コノハカハダレノモノ?」
写真の一枚一枚がこちらの妄想を膨らませてくる。
最後に、このアバターの異形さ・禍々しさを演出するワールドとして一風変わったワールドを撮影場所に選んだ。それが『TOKYO MIST』だ。このワールドは東京都心を模したワールドなのだが、スケールがとても小さいのだ。つまり……。
首都東京に未確認巨大兵器が出現!
建物との対比でスケール感を出すことによって、こんなにも印象が変わるのだ。
ビルを薙ぎ倒して、こちらに向かってくる。これは、暴走……!?
こうやってスラっと立っていると、一気に人類の味方感。
なんにせよ、東京は壊滅的な被害を受けるのであった(怪獣作品のお約束)。
異形のシルエットや、骨の頭部などのキメラ的な複数の要素の組み合わせ、そしてSFメカ。男の子が好きそうな属性てんこ盛りで、それでいて純粋にかっこいい。
今回の撮影で試したように、シチュエーションやポーズによっていろいろな印象を受ける多彩な魅力を持ち合わせたアバターだ。
ちょっと普通の人型じゃないアバターを求めている人、SFワールドでかっこいい写真を撮りたい人など、純粋なSF好き・メカ好き以外にも是非ともオススメしたい。
■撮影ワールド
ワールド名:海上都市「エメス」⁄VLFPs "E․M․E․T․H․" 製作者:at_suma
https://vrchat.com/home/world/wrld_b9078cb5-4e20-4c39-893e-ff7aa77d7e63
ワールド名:あの夏に閉ざされて-Chronostasis- 製作者:雨降り(あめふり)
https://vrchat.com/home/world/wrld_e28a3677-3c60-41bb-a106-f5704058237e
ワールド名:TOKYO MIST 製作者:VoxelKei
https://vrchat.com/home/world/wrld_c534f4eb-a359-4c2f-bdb3-2e995a3ca0d4
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Kawasaki Silvia(@kawasaki_silvia)
ファッションショーのアクターチームリーダー。 プロモーションビデオでの演技やモーションデータの製作、販売をおこなう。そのほか Vtuberとしてガイドスタッフや番組MCなど幅広く活動している。