箱庭あそびのようにTRPGを楽しもう。VRでTRPGを遊べるツール『CatsUdon』

 みなさんは『TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)』を知っていますか?

TRPGはその名の通り、テーブルを囲んで遊ぶロールプレイングゲームです。

プレイヤー同士の会話でゲームが進行していく、『なりきり遊び』と『ボードゲーム』が一体化したような遊びで、日本では1970年代を境に注目を浴びはじめています。

日本国内では「クトゥルフ系TPRG」が特に人気。
もしかしたら一度は耳にしたという方がいるのではないでしょうか。

アナログの良さを色濃く残すTRPGですが、最近はVRを活用した遊び方も開拓されているみたいです。

世界最大級のVRSNS『VRChat』でも、国内外問わず、自作でTRPGを作っているクリエイターがたくさんいます。

VRTPRG「CatsUdon」とは

今回ご紹介するのはTRPG好きのVRユーザーの1人。

自身を”卓修羅(TPRGのゲームマスターをいくつも務める常軌を逸する人)”と名乗るアディン・ヨハネさん。

VRChatで遊べる汎用VRTPRG用ツール『CatsUdon』を制作しています。

VRChatでTRPGを遊んでみよう!

実はTRPG未経験の筆者。

せっかく遊ぶなら初心者同士で遊びたい…!
ということで、フレンドさんをお招きしました。

くだらないもの工房のさん、Mogulive編集部の浅田カズラさん。

そしてxRAM運営チームのみかんレインさん。
3名とも今回がTRPG初体験です。

初めて遊ぶ私たちでも大丈夫かな?
と気がかりでしたが、そんな心配も無用です。

ゲームのルールをアディンさんが分かりやすく指導してくれます。

まずは、自分が演じるキャラクターを選んでください、との事。

今回プレイするシナリオは、初心者向けとして定番と言われる『ロッカー』と呼ばれるシナリオ。

脱出不可能な空間に閉じ込められた登場人物たちの前に現れたサイズの違うロッカー。
なぜロッカーがあるのかを解き明かして、晴れて脱出を目指すというミステリー調の物語です。


従来のTRPGならルールブックと筆記用具、サイコロやコマを使ってゲームを進めますが、ここはVR。

本当にロッカーが並べられた異空間の部屋に閉じ込められています。
うわぁ、物語の主人公感が半端ない。

この物語に登場するキャラクターは「学生」「先生」「芸術家」「新聞記者」「ドライバー」。
そして「犯罪者」の6人。

それぞれのキャラクターシートには、細かい数字が書かれています。
これがゲームの進行に関わってくる要素なのだそう。
参加者でわいわい雑談しながら、自分が役に入りやすそうなキャラクターを決めていきます。

TRPG歴8年の大ベテラン、まめたんさん

どんな人物なのか、どんな人生なのかといったキャラクターのパーソナル部分は、参加者同士でトークして明らかにしていきます。

匠さんは、壺を割ることをアートとする芸術家。
カズラさんは、足で取材する実直な記者に。
みかんレインさんは、”謎”のドライバー。
サポートとして参加してくださった、CatsUdon運営チームのまめたんさんは先生。
そして筆者は、学生を選びました。

「「「学生です。単位を落とし、バイトに明け暮れていましたが、今度はTRPG沼に沈もうという魂胆です!」」」

滑ってないよ?

アディンさんが一瞬ニヤリとした気がします。

ロケーションをその場で作れる!「ダンジョンビルダー」がすごい!

CatsUdonの基本的なギミックを体験できるワールド『Big CatsUdon』では、特定の世界観を表現したアセットを設置していません。

つまりワールドそのものは更地(さらち)という訳です。

この更地の空間に、まるで箱庭あそびのようにアセット(おもちゃ)を置いていくという仕組み。

この仕組みにより、1つのワールドでシナリオにあわせたシチュエーションを自分たちで作れるという訳ですね。

ストーリーの進行にあわせてその都度アセットを自由に再配置できるから、これは画期的かもしれない。

ドアを叩き割ろうとする匠さん。怖!

アディンさんの手によって、ほんの数分でロケーションが完成。

いよいよゲームを遊んでいきますよ。

視覚的にTRPGを楽しむ便利機能が満載

TRPGでは基本的に、キャラクターシートとダイスを使って物語を進めていきます。

キャラクターシートはVR上にある自分のバッグから取り出すことが出来ます。

カバンから出し入れできるのってダンジョン感あっていいよね。

キャラクターシートにはゲームの進行に関わるキャラクターのステータスが書かれています。

ふむふむ、学生の知識は70…。
なかなかお勉強を頑張っている学生さんのようです。
単位を落とすほどですから、誰も代返してくれなかったのでしょう。かわいそう!

では、ダイスを転がしてみます。

Quest2の左右のコントローラーの下トリガーを長押しすると、自身の上空からダイスが降り落ちてきます。

地面にぶつかれば、きちんとバウンドし面をシャッフルするようになっているようです。

筆者の知識は70なので、出た目が70以下であれば脱出のヒントとなりそうなロッカーについての情報が得られます。

出た目は……82。
あっ~…ざんねん!

ヒント、得られず…!

こんな感じでゲームを進めていくのがTRPGのおおまかな流れ。

ロッカー出てくる、なにかの瓶、指輪、薬、すり鉢、分厚い本と透過性抜群な感じの人形。

プレイヤー同士で協力したり、時には仲間を疑ってみたり。

コソコソ話で密談したい時は、周りのプレイヤーに会話が聞こえないように、ワールド上で音声を遮断するコライダー(目に見えない壁のようなもの)を呼び出すことができます。

シナリオの展開にあわせてギミックを出し入れできるのは面白い。

ロッカーのアイテムもOther Menuから取り出せるんです。
▲プレイするシナリオによって、必要な面の数が変わります。VR内で細かく設定することが可能です。
▲ゲームを進めていくと不穏なメッセージを発見。

さて、5人は脱出できたのでしょうか!?
ここからはシナリオの重大なネタバレとなるので、気になる方はCatsUdonのセッションに参加してみましょう!

アナログ発VR経由で世界最大級に

アディンさんが主催するディスコードサーバー『CatsUdon』は、VRで活動するTRPGのコミュニティで、世界最大級なのだそうです。

今後はより活動と幅を広げ、システムもブラッシュアップしていくみたいですよ。

VR SNSの活用により、人を集めないとゲームができないというTRPGの最大の欠点をなくし、より手軽にかつ簡単にできてしまうという点で、初心者にも遊びやすいVR TRPG。

今後こうしたTRPGのようなアナログ発ゲームがVRと交わることにより、新しい発見や、さらなるアナログゲームファンの増加につながるかもしれませんね。