VR対談:「バーチャルの小さな墓標(又はVの世界)」

先日V美少女ねむ様のこのツイートを見まして今回改めて「なぜVか?」を自分に問うていきたいなと感じました。
ただ、この問いは僕だけでなく、現在バーチャル上で活動されているプロアマ問わず皆が自問していく物だと思いますので、今回「なぜ自分はVなのか」について「VRCなにもしない人」ことdatayakiyaさんと対談するという形で文章に起こしました。
U・N・オーエンTwitterアカウント
VRCなにもしない人Twitterアカウント

オーエン
『実際今僕がVRC(VRChatのこと、以下VRC)上でチェロである理由はいくつかあるんですが、そもそもの話としてなんで僕が本名でなく、オーエンであるかを考えたいんです。』

dateyakiya
『それは僕も当たり前のこと過ぎて考えてなかったですね。』

オーエン
『そうなんですよね、僕も当たり前すぎて深くは考えてなかった。
まずとっかかりとして、「Vであることの利点」を中心に考えていきたいです。』

オーエン
『まず、バーチャルの特性として「過去を脱ぎ捨てれる」「トラウマをパージする」ことが上げれると思います。
実際僕も自信のない過去等を気にせず活動できたおかげで色々なことができたと感じていますし、同様の感想は色々なところで聞きました・・・人とによってはこれがVであることの理由である気はします・・・ただ、これは僕の場合本質ではないような気がします。
なぜなら、もし、僕がそうであればここまで色々な活動をしてたりする説明がつかないからです。
なぜ、明らかに手間やコストが係る方ばかり手を出しているのか・・・飲食店グループのメンバーになったほうがよほど人とふれあえますし、確実にいろんな人を楽しませることができるでしょう。』
※オーエンがやっていること・・・RVELTA代表やVNOSメンバー、定期的なオフ会運営、大規模オフ会運営、イマーシブクラウドプロデューサー等

dateyakiya
『あんまり論理的でない言葉を使うと「運命」とか「宿命」とか「その血の定め」って事なんでしょうね。』

オーエン
『JOJO!!』

『実際僕等の性質がそういうのに駆り立ててるのはあるとは思うんですけど、それだったらそれだったで、それ(僕の原動力)を掘り下げていけば何か見えるかもしれないですね。』

『実際僕の原動力の一つとして「タナトフォビア」はあるのかなと思います。』
※タナトフォビア:「死」恐怖症

dateyakiya
『わかります、僕も先日 志村けんさんが亡くなられた時にTwitterでは「天国に行っても~」などのツイートが多く世間では「死んで天国か地獄に行くのがゴール」という認識なんだなと感じました。
それってすごく怖くないですか?』

『僕は輪廻転生をある程度信じているので、老人ってある意味未来の赤ちゃんみたいな存在だと思うんですよ。「どうせ後で生まれ変わるなら、さっきまで生きてた時代よりかは楽したいな」って大体思うじゃないですか。じゃあ生きてるうちにお金バラまいて経済回しておこう、とか。”自分”が”自分”のまま「ゴール」に着いて後はみんな頑張れって思考が怖い。』

オーエン
『すごいですね・・・既に来世に向けた投資を意識してるってわけですね!
僕は逆に輪廻転生とかを全く信じてなくて、死んだら虚無しかないとおもってるんですよね・・・だからすごく怖い』

『あと、実はうっすらともう一つ思ってるのがあって「忘れられたら本当に死ぬな」って言うことですね』

『AI美空ひばりとかで倫理的にどうなのか・・・というのがありましたけど、ある種あれって「忘れられるのが怖い」人にとっては救いなのかもしれないなって感じます。』

『バーチャルって「どこにでもいてどこにもいない」んですよね、皆のある種の見立てとか妄想で成り立ってる部分があって、だからこそ逆に「そこに入れなくてもそこにいる」っていうのが成り立つ・・・』

dateyakiya
『その考えだと、バーチャルだからこそ”誰か”を感じる事が出来るって事・・・?確かこの話が始まる前の雑談で、オーエンさんが後進育成も同時進行で行ってると『仰ってましたが、オーエンさんは無意識で”オーエン”さんという思念をバーチャルに残したいと思ってるんじゃないですかね。
オーエンさんのバーチャル思念が生きてる=オーエンさんは死んでいない。
死への恐怖感から無意識にバーチャルに何かしらを遺そうとしてる・・・』

オーエン
『あーーーーーー凄いね・・・腑に落ちる。
“人は過去を思い出すことでその間だけ過去にタイムトラベルできる”
とは聞きますけど、それの逆ですね自分の思念を遺すことによって、未来への移動を試みてるんですね。』

『大げさに言ったらある種神への挑戦、怨霊の類じゃないですかwww
どっかの漫画みたく「ただ死ぬのなんて嫌だ、それだけじゃ嫌だ!」みたいなw』

『dateyakiyaさんはどうなんです?今の流れだと「バーチャルに何を求めてるか?」がバーチャルである理由に直結してそうなんですけど・・・何を求めてます?』

dateyakiya
『多分・・・なにも求めてないですね・・・w』

オーエン
『そんな気はしたけどwすごいですねw』

dateyakiya
『バーチャルはそこに在るだけで、僕らになにもしてくれないなーってVRCなにもしない人をやってて感じたんですよね。
結局バーチャルの上に人間が創って人間が交わって人間が大きくしていくってだけ。土を耕して種植えて野菜育ててる感じで、バーチャルはその土より下、地球そのもの。』

オーエン
『正に母なる大地、地球ですねw
そうなると、dateyakiyaさんの場合、ある意味「バーチャルじゃなくてもよかった」わけじゃないですか。
すると「なんでなにもしない人をしたのか?」「dateyakiさんは”VRCなにもしない人”に何を求めたのか?」というのがVである意味の切り口になるのかなと・・・』

『dateyakiyaさんは、「VRCなにもしない人」に何を求めましたか?』

dateyakiya
『エモいやつだw なにもしない人を始めようと思ったきっかけが多分答えになると思うんですが、それは「”気づいて”ほしかった」んですよね。
ここにdateyakiyaっていう奴がいるんだっていう他者からの”気づき”
無限に広がり続ける世界で、お前は1人じゃないぞっていう自身への”気づき”
クリエイターが生み出し続けるコンテンツを受け取るだけでもいいんだっていう”気づき”というか諦め、ですかね。』

オーエン
『なんか裏にすごい妄執を感じるw
「諦め」って何に対する諦めなんでしょう?
なんかすごく象徴的なキーワードに感じるんですけど・・・』

dateyakiya
『僕はVRCしかちゃんとプレイしてないんですけど、アバターつくれる!とか、ワールドつくれる!とかシェーダー書けます!とか「VRCなにかできる人」さっきの話から持ってくると「バーチャルに自分を遺してる人」がうじゃうじゃいるんですよ。
そいつらを見てて「なにも遺せない自分」っていうのがすごいコンプレックスで色々悩んでたんですが、「なにかを遺す」って自分以外がそれを認識しないと「遺せた」って思えないじゃないですか。』

オーエン
『わかる・・・「認知する存在が居ないと物事は存在できない」』

dateyakiya
『まさにそれ!そして、インターネットの力で際限なく広がるこの世界で「誰かが認知しないとバーチャル的に死んでしまう人がいる」って事に気づいて、じゃあ僕が全てを認知する側になろうって。僕という「お前らが遺したいもの」を認知できる存在を貸す。』

オーエン
『なんか「アトラス」っぽいお話ですねw
すっごく面白い発想というかインターネットによって個々の個性って希薄になっていっているじゃないですか、同じような集団がすぐ見つかるので、各々はその集団に埋没して外から見ると個として認知できないんですよね、そういう中において個を形作る役目を担う・・・って言うことな気がします。
これってバーチャル(インターネット)だから起こる需要というか、問題なんだなって・・・dateyakiyaさんの場合「解決したい問題がバーチャルだから起こることだからバーチャルである意味がある。」
のかもしれませんね。』
※アトラス:ギリシア神話における天空を一人で背負わされている神

『そして、もう一つ今の会話で面白いところは「なんでバーチャル(インターネット)じゃなくてバーチャル(VRSNS)か」っていうところだと思うんですよ。』

『バーチャルって今までのテキストベースや音声ベースのインターネットと違って一目で入る情報量多いじゃないですか、好みのアバターっていう見た目・立ち姿の癖とか・・・
「拡散する世界」の問題の話なのに、1人1人のレベルにまでミクロにみると情報が集約されているというのも見えるなって・・・それだから「誰も認知しない」っていう問題に対応しやすいのかなと・・・』

『ある種の矛盾、その矛盾からうまれた現象って感じで面白い』

dateyakiya
『VRCなにもしない人は山火事とかの自然災害と一緒だw』

オーエン
『なにそれwww』

dateyakiya
『山火事って文字通り山が自然発火で燃えちゃってヤバイー!ってやつなんですけど、燃えた木々が次の子孫を遺すために必要な栄養になったりして、現象だけみると大変なんですけど、これからの山の事とか、”木”のこれからを考えたら「あの辺もうちょっと燃やさないとね」って気づく、みたいな?この例え分かりにくいですねwww』

オーエン
『必要悪とかそんな感じ?』

dateyakiya
『一言でまとまっちゃった!www』

オーエン
『wwwwww』
『なんかある意味「バーチャルなら世界になれるからVである意味がある」みたいな

オーエンが
「死にたくない」

なら

dateyakiyaさんは
「神になりたい」

なのかなと・・・』

dateyakiya
『ぎゃーーーーー!!いやでも、実際そうなのかもしれんw』

『僕の口癖が「人間ってウケるな」なんですが、完全に傍観してますもんね。認知するって作業もきっと上からの方が見やすいから理にかなってるなぁ』

オーエン
『流石の僕でも驚くプライドの高さ!www』

『こう改めて上の文章を読み返すと、目的は違えど2人とも人間を超えたがってますよねwこれが結論でしょうw』
『面白いことに最終的に2人とも同じ結論に達しましたw
「僕達は人間を辞めれそうだからバーチャルを選んでいる。」
とても不可思議な結論ではありますが、腑には落ちますねw』

dateyakiya
『着地点がここなのか・・・wそうしたらアバターは石仮面ってことですね!』

オーエン
『JOJOから始まりJOJOに終わるw』
『俺はチェロケースの中で100年眠るかなw』

<=to be continued=
~第三部に続く~


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U・N・オーエン男爵
U・N・オーエン男爵