2024年12月21日は、都内で大小多くの“リアルイベント”が同時開催された日でした。
株式会社HIKKYによる『VketReal 2024 Winter』(以下『VketReal』)、株式会社ポリゴンテーラーコンサルティングと株式会社往来による共催の『VRC大交流会』は、この日の軸とも言えるイベントです。
各イベントそのものの詳細については、すでに多くの情報がメディアやSNSで報じられていますので、ここではバーチャルライフマガジンのいち記者として、まる一日をかけて巡った行動ログとしてのレポートをお届けします。
目次
10件を超えてた2024年リアル取材!?
ユーザーの発信をテーマとして活動を開始した私達バーチャルライフマガジンは、主に『VRChat』のユーザーイベントやコミュニティの姿を伝える記事を作り続けてきました。必然的に、昨今のリモートワークと同じく“インターネット上で完結する”のが、活動開始当初の姿だったのです。
ですが2024年は、リアルの場へ赴いて行う取材・活動が『VketReal』を含めて10件以上にも達しており、「バチャマガもメディアらしい活動ができてきたかも!?」と思うと共に、『VRChat』だけに収まらない“VR(XR)文化の拡大”を感じざるを得ません。
『VketReal』と『VRC大交流会』が行われた日は、そうした活動の集大成のような体験となりました。『XR Kaigi』も併せまして、直接お話をしていただいた皆様には、改めて謝意を申し上げます。
山手線2週くらい? バチャマガメンバーがんばりました
実のところ、バーチャルライフマガジン総体として『VketReal』も『VRC大交流会』も、何か具体的な指示に基づいて参加した訳ではありませんでした。取材とは全く別の個人活動として、パラリアルクリエイターブースに関わるメンバーや、『VketReal』の有志スタッフで現場を支えていたメンバーもいますし、『VRC大交流会』の後に行われたPANORA主催の『デカメタのみ』スタッフとして奔走していたメンバーもいます。
ひとりの『VRChat』プレイヤーとして活動を続けた結果、両イベントへ深く関わるメンバーが結果的にバチャマガ人員だったという一日になりました。それぞれ忙しく準備を進める中にあって、筆者は「じゃあ自分が全部回ってやんよ!」と配布チラシの補充だとかで右往左往していたというわけです。
・10:00~ 池袋『VketReal』現地入り プレス対応にて入場
・11:00~ 会場全体をひととおり取材・撮影
・12:00~ 渋谷『Yamaha Sound Crossing Shibuya』電動マウンテンバイク見学
・13:00~ 秋葉原『VRC大交流会』昼の部 プレス対応にて入場
・14:00~ 会場全体をひととおり取材・撮影
・15:00~ 物資補給・整理のため一時帰宅
・16:30~ 『Diver-X』新製品発表会(『ContactTrack』)取材
・17:30~ 『VRC大交流会』夜の部 個人当選にて参加
・20:30~ 『デカメタのみ』参加 ~ 終電帰宅
個人発信と参加の場を担い続ける『VketReal』
会場は池袋サンシャインシティの文化会館ビル2Fにある展示ホールDでした。
今回は無料範囲で楽しめるエリアと、段階的な料金設定による有料エリアが区切られていたので、来場前から少なからず“目的買い”のような想定をされていた方も多かったのだろうと思います。
2日目である22日の取材も通して、『パラリアルクリエイターエリア』の来場者密度はかなり高く、同人誌即売会的な側面に対するユーザーの期待度が現れていました。
『パラリアルクリエイター』のブース枠数は『VketReal』の回を重ねるごとに増しており、順当な拡大を達成していると言えます。そもそもの会場選定が流動的、かつ変則的であることから、出展する側にとって予測しがたい要素が出てしまうといった問題はありますが、個人発信と参加の場を担う大型のリアルイベントはまだまだ他に代えがたい存在です。
渋谷や原宿といった過去のチャレンジと比較すると、今回は“既存ユーザーに目を向ける割合”が高かったものと思いますが、それでも『パラクリエリア』はちょっと狭かった!! 色々な制限との格闘の上であることは理解しつつ、今後も更にブース数の拡大を目指すであろうことを期待して、敢えて記しておきたいと思います。
『VRC大交流会』に見る“仕掛ける側が集う”場
会場は秋葉原UDX、2FのAKIBA SQUAREでした。
企業などの出展ブースも設けられているとの事前情報から、どのような会場設営となるのか期待が高まっていました。実際の会場は中央部分を広く取り、立食形式のテーブルを並べて交流場所の割合を大きく確保した配置となっていて、その外周に“ブース”が並んでいるという構造でした。
イベントのその名の通り、広めのスペースで交流を図れるという役割をしっかり確保したものと思います。しかしながら、企業を含めた出展エリアは短い準備期間でどのように実現したのだろうかと、驚くほかありません。
厳選した出展エリア、交流のための広いスペース。『VRC大交流会』はその内容をシンプルに絞ったことで、来場者は多かったものの過ごしやすいイベントだったように感じます。
この日は昼の部と夜の部が設けられていて、昼は即売会的な意味合いが強かったのもあり、午前中から早めに行動していた人はすぐに移動して『VketReal』やその他のイベントへと繰り出していたのではないでしょうか。
一転して夜の部は“交流目的一本”に絞った立食パーティでした。出展エリアが撤去された部分に、休憩用の椅子と食事が展開され、とにかくいろいろな人と話す機会が提供されました。参加者は事前に申し込み抽選されているものの400名に迫る規模であり、条件によっては無料で参加できるという規格外のイベントであると言わざるを得ません。
首から下げている名刺を凝視しながら「もしかして誰々さんですか?」と会話を開始する場面を目撃するだけでなく、筆者自身もお声がけいただくことが複数回発生しました。とにかく「『VRChat』で聞いたことあるぞ」という所属の方々が集っており、『VRC大交流会』は“仕掛ける側の人々の集い”であったことは間違いありません。
リアルの強さを改めて感じるも、そこにはバーチャルの土台がある
バーチャルライフマガジンの記者として動きつつも、筆者は個人としてこの日のイベントを楽しんでもいました。その内のひとつとして、渋谷『Yamaha Sound Crossing Shibuya』での電動マウンテンバイク体験があります。これ1台でハイエンドゲーミングPCが2個くらい買える高級車だったりします。
ライターのお仕事として、ヤマハ発動機製のワールド『VR TRAIL』の紹介記事を請けていたこともあり、せっかく山手線を移動しているのであればと立ち寄ったのです。こうしたことも含めてこの日はとにかく移動しており、ひとつひとつに集中できなかったという反省はあるものの、とても充実した一日を過ごせました。
“出社回帰”に納得してしまいそうな気持ちもある
『VRC大交流会』の合間には、Diver-X株式会社の新製品『ContactTrack』メディア発表会が行われていました。会場案内の方が、実は東京ゲームショウで『Bigscreen Beyond』に関する応対をしていただいた方で、再会を喜び合ったりといった出会いもありました。
夜の部においては、筆者が直接関わった訳ではない記事を含めると、本当に多くの方と直接ご挨拶できる機会をいただけました。特に筆者が作成した記事については、わざわざ首に下げた名刺を見てお声がけいただいた方も居て、掲載後の顛末などを伺える貴重な時間となりました。
「リアルの場はあまりにも強い」…… そう感じざるを得ない夜だったと思います。一度フルリモートワークが普及した時代からわざわざ“出社回帰”がニュースとなる世の中にあって、VR活動を土台とした強いリアル交流の体験を目の当たりにすると、「それも理解できる」という思いを筆者の中で強めることにもなりました。
友人へ会いに東京を目指す。それは矛盾か、希少価値か。
この日の最後は“秋HUB”こと『HUB秋葉原店』で行われた『デカメタのみ』でした。
貸し切りイベントでしたので、そのエリアにいる人達はまず間違いなく『VRChat』ユーザーです。色々な机に移動して自己紹介をしたり、人に紹介してもらったりといったことを重ねていました。
立ちテーブルで飲んでいると、見知らぬ一団がやってきました。かなり楽しそうに騒いでいて、正直なところちょっと警戒していたのですが、それでも「この人たちだって『VRChat』プレイヤーなんだよな」という思いが先に立ち、話しかけてみました。
聞いてみると、彼らはオフで会うのが初という友人たちで、九州からはるばる東京へやってきた人もいたのです。そんな一日が楽しくないはずはありません。筆者自身も、きっとそのような状況なら楽しくて仕方なかったに違いないと思いますし、警戒していたことを恥じて改めて彼らへ自己紹介しました。
バーチャル空間、リモートワーク、そうした要素は距離を無視できることや、個人をうまく覆い隠したコミュニケーションを取れることが利点とされます。東京一極集中が社会的な課題とされる中にあって、ひとつの解決策として希望のある話だと思いつつも、実態として“バーチャルの繋がりを重ねたことでリアルへ向かうことが更に魅力的になっていく”のも事実なのだろうと思います。
いつかバーチャル空間が現実と遜色のない体験へと進化した時、そんな現実世界への希求は薄れていくのでしょうか。それとももっと深い現実世界の楽しみとして高め合っていくのでしょうか。そんな時代にVR睡眠で見る夢は、果たして現実世界の夢と言えるのでしょうか。
“場”が提供されることへの価値に、改めて感謝を。
『VketReal』や『VRC大交流会』が開催されたこの日は、筆者にとって2024年の活動がきちんと実っていたことを感じられる貴重な時間となりました。
リアルにせよバーチャルにせよ、人の活動を実現させるためには“場”の存在が不可欠です。それはワールドを運営するという形かもしれませんし、今回のようなリアルイベントの提供という形かもしれません。
大型イベントが複数開催されるということで、一体どうなってしまうのだろうという心配もあったのですが、蓋を開けてみればむしろまだまだキャパシティが足りないという感想を持った方も多かったのではないでしょうか。結果として2大イベントが開催されて良かったと感じています。
そんな価値ある場へ、ほとんど大きな負担なく多くのユーザーが参加できるというのも本来は簡単なことではないはずです。こうした活動が更に持続可能なものへと進化していくことを願いつつ、開催に尽力された皆様へ深く感謝を申し上げたく思います。
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