バーチャルライフマガジンが追った2021年のメタバース。

ハッピーニューイヤー2022!

今年も皆様に多大なるご支援をいただき、VRで活躍するたくさんの方の活動をご紹介することができました。

ご支援いただいた方々に感謝の言葉を述べるとともに、2021年のメタバースコミュニティについて、思い出を振り返ってみたいと思います。

去年はこの世界の事をVR SNSと呼んでいましたが、なんだか急に『メタバース』って言葉が出てきたので『2021年のメタバース振り返り』と題しています。

そもそもメタバースという言葉自体も『VRを活用したプラットフォームの事だ』とか『フォートナイトやどうぶつの森もメタバースだ』とか『インターネット空間全部メタバースじゃね?』とか、定義が安定せず非常に不安定なので、もしかしたら来年はこの空間の呼び名がまた別の名前になってるかもしれません。

とりあえず、バーチャルライフマガジンでは“VRを活用したソーシャルプラットフォーム内の出来事”にフォーカスして今年1年を振り返りたいと思います。

年はじめからVRプラットフォーム戦国時代

今年度総じての出来事ではありますが、とにかくたくさんのVRプラットフォームサービスが誕生したことが印象的でした。

年初めの1月からDMM VR lab開発のVRコミュニケーションアプリ『Connect Chat』がアーリーアクセスを開始したり、イラストコミュニケーションサービスのpixiv(ピクシブ)が提供する『NEOKET』が開催されるなど、メタバースプラットフォームを開発する企業が相次いで現れました。

日本の旅行会社、JTBもプラットフォームを作り話題になりました。
『美味しそうな海の幸が見えるぞ』の衝撃はVRユーザー内だけでなく、他界隈でも取り上げられ話題だったようです。

ビジネス活用のWEBプラットフォームを含めればそれこそ無数にプラットフォームが乱立している状態で、正直すべてを追う事は難しかったです。

ただ、継続的に“メタバース”として活用され、住人(ユーザー)が住み着いているプラットフォームはごく僅かです。新しく誕生したプラットフォームはそのほとんどが1回きりの活用であったり、イベントが開催される時のみに使われるものが殆どです。

VRを活用したメタバースとして使用されている主なプラットフォームは『VRChat』がダントツの人気で、次点で国内だと『cluster』、海外では『NEOS VR』にVR人口が集中しているようです。

(こちらのデータはVTuberのねむさんがデータを集計した『メタバースでの驚異の生活実態とは!?「VR生活実態レポート」- ソーシャルVR国勢調査2021 Part1』より引用しています。VRメタバースの現状が数字で分かるとても素晴らしいデータとなっていますので是非ご覧になってください。)

ソーシャルVR事業に企業が続々と参入する理由は、今年度前半においてはやはり昨今の外出がしづらい時勢の影響が強く表れていることが感じられます。

現実で人を集めたイベントを開催することが難しくなってしまった昨今、代替えのサービスとしてVR空間が着目されているようです。

幸か不幸か、昨今の外出自粛がVRの認知度を向上させたのは間違いなさそうです。

個人的にはこの『現実がダメになったからVRで代替えする』という動きも、緊急事態宣言が解除された年内もしくは来年度半ばには落ち着くかな…と思っていましたが、今年の10月28日にはFacebookが社名を『Meta(メタ)』に変更するという大きなニュースが舞い込んできました。

世界で支配的影響力を持つIT企業がメタバース事業に本格参入するという事で、今度は投資家やビジネス系インフルエンサーたちによるメタバースバブルで賑わいそうです。

ただ、既にVRを日常的に楽しんでるユーザーからは『経済が回るとサービスが豊かになるから嬉しい』という意見と『企業が入ってくると私たちが築き上げてきた文化が破壊されてしまうのでは…』といった不安の声とが入り混じっている状況です。これについてはまた後ほどの考察で述べますね。

ユーザーイベントが勢力的に行われる

2021年はVRユーザーによるVR展示イベントも大変賑わった年でした。

VR法人HIKKYの『バーチャルマーケット』を皮切りに広まったVR展示イベントのカルチャー。

ユーザー主体の大規模な展示イベントが毎月のように開催されていて、特に夏以降は怒涛のユーザーイベントラッシュでした。

展示会イベントは3Dモデルの展示が主流のようです。
実際、現状のVR空間でユーザー単位で経済が回っているジャンルというと3Dモデル販売が殆どですから、イベント展示会も3Dモデル販売に特化したものが多いのでしょう。

それに準じて、同人誌販売や音楽販売、ボードゲーム展示の同人カルチャーがVR展示イベントとして開催されています。

もともとVRプラットフォーム…特にVRChatはユーザークリエイトの世界なので、創作物展示系のイベントが盛り上がるようです。

『パラレルマーケット』『ワンコインマーケット』『VRフードフェス』など、いくつかのユーザー主催イベントには企業協賛が付いています。

楽しいことをやっていたら企業もその波に乗って応援してくれた、というのはユーザーとしては嬉しい限りですね。

VR店舗・VRショールーム

またイベントとは別に、企業によるショールームや疑似店舗がVR空間で開かれるケースも見られました。

今年4月にはTOYOTAと株式会社HIKKYが手掛けた『TOYOTA Marine WORLD』にて実物大のラグジュアリーヨットの展示が行われています。
こちらの展示会ではVR空間の強みを生かし、自宅に居ながらヨットのバーチャル試乗を楽しむ事が出来ます。
ガソリン代をかけずにクルージングを疑似体験できる訳ですからエコですよね。

現実で開催するには場所や経費の規模が大きくなってしまいがちなショールームも、VR空間ならば場所の制約を受けずに自由に展示可能です。
私たちユーザーにとっても、普段足を運ぶ機会のない敷居の高い展示イベントを気軽に遊びに行けるようになるのは嬉しいです。

日産自動車が企画した『バーチャルNISSAN CROSSING』ではVRプラットフォームで活躍するクリエイターやユーザーを巻き込みプロモーションを行いました。

日産のような大手企業であれば、VR展示場のワールド制作をゲーム会社にを外注したり、リアル世界のインフルエンサーを呼んでプロモーションすることも容易に可能ではあります。

そんな大きな会社が私たちユーザーが育んできた文化をリスペクトしてくれて、VR空間内で生まれたスターを起用してくれたというのは異例とも言える判断でした。

語弊を恐れずに言えば世間的にまだまだ数字の確証が持ちづらいVR内クリエイター・パフォーマーを起用するのは会社にとって大きなリスクであったはずです。

にもかかわらず、既存ユーザー側の文化を汲み取り歩み寄ってくれたことは大変うれしい出来事でした。
Facebookのメタバース事業参入の発表により、ビジネス書の知識便りにメタバースに参入する企業も多い中、今その瞬間のメタバースを自身で体験し、その場にいる人と人間関係を構築しながらユーザーと共同で事業に取り組んでいくという姿勢は今後参入する企業にとって参考になる事例でした。

サンリオがVRChat上で開催した『SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland 』では、既存の有名アーティストのみならず、VRプラットフォームで活躍するアーティスト『AMOKA』を招いたり、バーチャルクラブの先駆け的存在である『GHOSTCLUB』とコラボし、専用フロアが用意されるといった動きも見られています。

メタバースを含むコンシューマー向けのサービスにおいてはユーザーベースで既に育まれている文化やクリエイターを大切にする『そこにいるユーザーを無視しない』という在り方がポイントになってくるかと思います。

大企業の参入の他、個人経営のお店やローカル企業もVR店舗を活用したプロモーションを行っています。

この動きは1995年ころに一般にPCが普及し始めてから、企業が自社ホームページを作り始めた動きと似ています。
今から振り返って言うなれば、いわゆる『Web 1.0(ホームページ時代)』です。

当時は『WEBサイト?そんなの必要なの?』と懐疑的に思う企業もいたようですが、今では企業のみならず、個人商店でも当たり前のようWEBサイトを持っています。

現在突入しつつある『Web 3.0』の時代では企業がメタバース世界にVRショップを作るといった流れがスタンダードになるかもしれません。

フォトコンの大流行

ユーザー主体の文化でフィーチャーするならば写真文化が大きかったと感じます。

2021年はVRメタバースユーザーの間で写真を撮る文化が流行しました。
ユーザーベースの企画で頻繁にフォトコンテストが開催されています。11月にはVRChatのデフォルトカメラのアップデートが行われ、より深みのある写真が撮れるようになりました。今後も撮影文化は大きく伸びていきそうです。

写真文化に伴い『バーチャルフォトグラファー』という、バーチャル空間で写真を撮影する仕事が新たに登場しています。

この写真文化に伴い、今後は『バーチャルモデル』『バーチャルアクター』の仕事も需要が高まりそうです。

VR空間を通じたゲーム業界の新しい流れ

ワールド制作はメタバースプラットフォームにおいての要(かなめ)とも言えます。
クリエイターたちの自由な発想は毎日新たなワールドとしてVRプラットフォームにアップロードされています。

その中でも特に日本コミュニティにおいて、今年最も話題となったゲームワールドがこちら。
ヨツミフレームさんが制作した『PROJECT: SUMMER FLARE(プロジェクトサマーフレア)』でした。

幻想とディストピアが入り混じったSFチックなストーリーが魅力の 『PROJECT: SUMMER FLARE(プロジェクトサマーフレア)』 はプレイヤーの間で『夏』という愛称で呼ばれ、『夏を壊しに行く』『夏を倒してくる』など、親しみを込めた表現でSNSで呟かれています。

ストーリー、デザインともに非常に優れており、その高クオリティさはまるで1本のゲームを購入して遊んでいるかのようでした。

VRを活用したメタバース空間では 『PROJECT: SUMMER FLARE(プロジェクトサマーフレア)』 をはじめ、市販のゲームと遜色ないクオリティのゲームワールドが続々と公開されています。
現時点ではワールド制作で直接的に収入を得ることは出来ませんが、VRChat公式のアナウンスによると今後クリエイターを支援する仕組みの第一歩として『ユーザーサブスクリプション』システムの導入が検討されています。

メタバース内でのゲームは1人で遊ぶことももちろんできますが、友達と遊園地に行く感覚で、仲間を誘って一緒にプレイすることができます。

これはつまるところ、ゲーム実況や配信動画に消費されない、新しいゲームの形とも言えます。

ディズニーランドのアトラクションに乗っている動画を見たからディズニーランドに行かなくてもいいや、とはならないように。むしろ『私も行きたい!』となるように、これまで動画配信でゲームの疑似体験を済ませていた層がプレイヤーに転換するきっかけになりそうです。

他にも魔法の世界の幻想体験が楽しめる大型ライドアトラクション『Magic Heist』の公開や、東京マルイのバーチャル・サバイバルゲーム場なども登場し、ユーザー間で話題となりました。
今後VRメタバース空間を通じたゲームワールドの公開はさらに加速していくことが期待されます。

来年のVR・メタバースの未来はどうなる?

バーチャルライフマガジン創設から2年。

この世界の魅力は何だろう、改めてそう考えたとき、その答えの1つに『私たちの手で世界を創り上げていくこと』にあるのではないかと感じます。
メタバース空間で出会う人は皆、目を輝かせて『こんなことをしてみたいんだ!』『こういう事をしたら面白そうじゃない?』と話をしてくれます。

“メタバース空間はもう1つの人生”という人もいますが、まさにその通りです。
現実では普通のサラリーマンでもメタバースでは美少女のアイドルだったり、タレントだったり、喫茶店の店長だったり、ファッションデザイナーだったり…。

現実のしがらみを超えた世界。誰もがなりたい姿になれる、誰もが主役になれることがVR・メタバース世界の魅力です。

その魅力はVR文化が今後どのような発展を遂げたとしても残り続ける事でしょう。


この先の記事では今後VRの文化が具体的にどのような発展を遂げていくのか、また、メタバースを発展させるため、メタバースでビジネスをする上で重要なポイントは何かについて、具体的に述べていきたいと思います。

大きく分けて以下の2つの視点で考察していきます。

・ VRユーザー視点で考えるメタバースの未来
・ メタバースでビジネスを行っていく上で気を付けるべき事

VRを活用したメタバースの文化をディープに追っているからこそお伝えできる事があるかと思いますので是非読んでいただけると幸いです。
(頂きました支援金はバーチャルライフマガジンの運営費、そしてバーチャルで活躍する様々なクリエイターさんの支援に充てさせて頂きます。)

それではよいお年を!

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